"TITANE/チタン(Titane)"(2021) パルム・ドール受賞おめおめおめでとう!!!
これがジュリア・デュクルノー流の「サウンド・オブ・メタル」?
公式トレイラー
ついに! あの傑作ホラー"RAW 少女のめざめ"のジュリア・デュクルノー監督が帰ってきた!! 5年ぶりの新作ですね。いやあ待ちに待った。そう言えば、"RAW"でTOHOシネマズ六本木ヒルズデビューしたんだっけ。敷地内に彫刻家ルイーズ・ブルジョワによる"ママン"というクモの形をした作品がありますが、それ見てドゥニ・ヴィルヌーヴの"複製された男"に出てくるあの大グモの正体が分かりました。母性とはクモのようなもの……。あ、そう言えばそんな映画が公開中ですね。早く観なければ……(でも、ルイーズ・ブルジョワは恐怖ではなく母親への愛情を込めてあのクモを作ったそうです)。
あらすじのようなもの
TITANEとは、高い耐熱性と耐腐食性、抗張力を持つ金属で、その顕著な生体適合性からよく医療の分野で補綴に用いられる合金。
車と交わるシリアルキラーのアレックスと、10年前に息子のアドリアンが失踪したヴァンサン。アレックスはアドリアンになりすまし、ヴァンサンと出会うが……。
スタッフ・キャスト
監督は前述の通り、フランス人のジュリア・デュクルノー。
主演は"博士と私の危険な関係"のヴァンサン・ランドンと、本作で長編デビューとなるAgathe Rousselle(アガット・ルーセル?)。そして何と"RAW"で主役を務めていたギャランス・マリリエも出演!
あらすじがあらすじの体をなしてませんが、IMDbに書いてあったあらすじの直訳です。カッコ良い。
TITANE: A metal, highly resistant to heat and corrosion, with high tensile strength alloys often used in medical prostheses due to pronounced biocompatibility.
「titane(ティターヌ)」とはフランス語でチタン(titan)のこと。トレイラーには妙ちくりんな器具が装着されてる人がいますが、もしかしたらその器具を「titane」と呼んでいるのかも。トレイラーを見る限り、"RAW"に負けないトンデモ映画になってそうで良し。"RAW"では血ドバが拝めましたが、本作は金属成分多めで、どっちにしても鉄の味がしそうです。
非常に肉体の生々しさが強調された映像になってますね。ちょっと気味悪いほどに。この辺りは"RAW"もそうでした。よく分からない器具を付けられた少女が映りますが、成長してAgathe Rousselle演じるアレクシアになるんですかね。車と交わるってのは、デヴィッド・クローネンバーグの"クラッシュ"を思い出させます。絶対この映画ガチでヤバいやん。
ところで"RAW"ではギャランス・マリリエ演じるジュスティーヌの姉の名がアレックス(アレクシア)でしたが、何か関係あるんですかね。ヴァンサンの息子の名前がアドリアンですが、これも"RAW"に出てきた名前です。ジュスティーヌが恋をするゲイの男の子がアドリアンでした。ジュリア・デュクルノーは何故この3つの名前に執着しているんでしょう。ジュスティーヌはマルキ・ド・サドの"美徳の不幸"から取ってるようですが。
"サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~"のリズ・アーメッドみたいに、アレックスの耳の裏から後頭部にかけて手術痕みたいなものがありますが、それも謎ですね。映像は大きく変わりませんが、トレイラーの雰囲気が前半と後半でガラッと変わるのも怪しい所。前半では金属音が印象的に響いています。まさに「サウンド・オブ・メタル」。
ヴァンサン・ランドンは、Heiroにはこれまで観た作品のイメージから若い娘が好きなスケベなおっさんにしか見えなくなってます(笑)。"博士と私の危険な関係"では患者役のソコに手を出し、"あるメイドの密かな欲望"ではメイド役のレア・セドゥに手を出し……。最初は本作のシリアルキラーはヴァンサンの方だと思ってました。アレックスの方だったとは(笑)。
そう言えば、"博士と私の危険な関係"の監督であるAlice Winocourはよく「アリス・ウィンクール」と表記されますが、どう見ても「アリス・ウィノクール」が正しいでしょ。本人もそう発音してるし。日本ではカタカナでの表記はスペルに影響を受けがちだけど、この場合は何が原因なのか分からないなぁ。
Agathe Rousselleは何だか顔がヴィッキー・クリープス感ありますね。ヴィッキー・クリープスは珍しいルクセンブルク出身の女優ですが、本作はお隣のベルギーとフランス合作の映画のようです。本物のヴィッキー・クリープスの方も、注目のスリラー"オールド"に出演してます。
ギャランス・マリリエが出演しているというのは嬉しいニュースです。"RAW"のジュスティーヌ役は恐ろしいほどハマってましたね。美しき獣と形容するにふさわしい外見で。"ダーリン"のローリン・キャニーもそんな感じでした。それなりに画面に出てくるキャラだとなお良しなんですが。
本作は今年のカンヌ国際映画祭のコンペティション部門でワールドプレミアが決まっております。つまり、最高賞であるパルム・ドールを受賞する可能性があるということ! "RAW"は賞レースに絡まない独立選出の国際批評家週間で上映されました。国際批評家週間は有望な若手作家を見出すためのものです。"RAW"はその中の最優秀賞であるFIPRESCI賞を受賞しました。ジュリア・デュクルノー作品の特徴はエロス&ヴァイオレンス。今年のコンペティション部門には、キング・オブ・エロス&ヴァイオレンスのポール・ヴァーホーヴェン御大の"Benedetta"がいますから、一番のライバルになるでしょう(笑)。"RAW"も日本公開されたし、ジュリア・デュクルノーのネームバリューも上がってるでしょうから、これは日本上陸も見込めるのでは!!
Rotten Tomatoes 96%,N/A
IMDb 6.5
"RAW"の時みたいに、また途中退場者出ろ……。
(2021/7/18追記)
おお! マジで本作がパルム・ドール受賞しちゃったよ!! これは日本公開あるな!!
(2021/7/27追記)
Rotten TomatoesとIMDbでの評価と、やっとストーリーが明らかになってきたので追加しました。とは言えやはり訳分からん。
(2022/2/2追記)
4/1からギャガ配給での日本公開決まりました!! 1年経たずに公開なので、そんなに待ちぼうけ食らわなくて良かった!! ありありありがとう!!!