Heiroのシネマ・ミュージックフロンティア

Heiroによる、辺境の映画・音楽を紹介・レビューするブログです。(映画レビューの際はのっけからしこたまネタバレします。映画は★、音楽は☆で評価) ツイッターアカウントはこちら→https://twitter.com/chloe_heiro0226

"ゴジラvsコング(Godzilla vs. Kong)"(2021) Review!

(メカ)ゴジラvsコング……andゴジラ

f:id:heiro_chloe:20211204221811j:plain

公式トレイラー


www.youtube.com

 

ここまでアクション盛り盛りで「ええ……良いんですかぁ……?」ってなったのは"Mr. ノーバディ"以来ですね。結構最近やん。とりあえず、この映画観て小栗旬ファンが何て言うのか気になります。あ、Heiroは特にファンじゃないので楽しめました。

 

 

あらすじ

前作"ゴジラ キング・オブ・モンスターズ"の世界から5年。ゴジラが突如現れ、巨大企業エイペックス・サイバネティクス社を襲撃する。怪獣研究機関モナークは、怪獣の起源と思われる地下空洞を探索するため、巨大化しすぎたコングは髑髏島から南極に移送しようとするが、その最中にゴジラが再び現れる……。

 

スタッフ・キャスト

監督は"サプライズ"アダム・ウィンガード

"ザ・イースト"アレクサンダー・スカルスガルド"BFG: ビッグ・フレンドリー・ジャイアント"レベッカ・ホール、前作から引き続き登場のミリー・ボビー・ブラウンらが出演。

 

 

まず言いたいのは、アダム・ウィンガードの出世すげーなと。この人元々マンブルコア畑ですからね。超低予算の映画からこんなビッグバジェットの作品作るようになるとはね。え、予算1億倍とかになってるのかな? ワオ。マンブルコアについてはこちらをぜひ。↓

heiro-chloe.hatenablog.com

 

まずHeiroは怪獣映画に明るくないです。だからあんまり思い入れもないです。でも、このモンスター・バースの中では"キングコング 髑髏島の巨神"が一番好きなんで、まあ推しはコングかなと思って観ました。だって、モンスター・バース1作目の"GODZILLA ゴジラ"は内容的にはそんなに悪いと思わないけど、前も言ったかもだけどアーロン・テイラー=ジョンソン演じる主人公が爆弾処理班なのに一回も、それもよりによって核爆弾を処理できないで終わるんですよね。ストーリー的には爆弾が爆発する必要はないんですよ? こんだけ日本に関係してる映画でこんにゃろうって感じなのよね(ジャンバラヤ……じゃなくてジャンジラなんて全く日本的じゃない地名を平気で使ってたし)。で、"キングコング"はすごく楽しめました。アクションの見せ方も良かったし、適度にグロが入るのでハラハラしたしね。そして前作"ゴジラ キング・オブ・モンスターズ"。うん。まあ楽しめなかったわけじゃないんだけど、トレイラー最高だったじゃないですか。怪獣アクション映画のはずなのに、ドビュッシー"月の光"がかかってね。えらい幻想的でアーティスティックでね。このセンスはすげえと驚愕してブルブル震えてたんですけど、本編はまあ……まあまあだった……。この時点で個人的にはコング1点、ゴジラ-2点なんですな。ゴジラは2回もチャンスがあったのにな。というわけで、暫定的にコング派を名乗っているのであった。

ただ、このシリーズの全作品に言えるのは、登場人物の魅力が乏しいこと。怪獣が主役なんでと言われればそれまでなんですけど、誰が死のうが生きようが割とどうでも良く、怪獣の出ないシーンは結構退屈。かなり気に入った"キングコング"ですらね。キャストは毎作豪華ですけどねぇ。"GODZILLA"ではアーロン・テイラー=ジョンソンエリザベス・オルセンという"アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン"組でしょ。後はブライアン・クランストンと一応ジュリエット・ビノシュジュリエット・ビノシュはすぐ死んじゃいますけどね。もったいない。"キングコング"ではトム・ヒドルストンブリー・ラーソン……ってまたマーベル組じゃんね。"キング・オブ・モンスターズ"ではヴェラ・ファーミガにミリー・ボビー・ブラウンと。ヴェラ・ファーミガはある意味活躍してましたけどね。っていうか、せっかくチャン・ツィイー出したんだからもっと活躍させろ!! よく分からん双子設定にしやがって……いや"モスラ"オマージュなのは分かるけどさ。もっとこう、格闘技方面で……(笑)。"グリーン・デスティニー"とか"グランド・マスター"大好きなんで。全くねえ、"スター・ウォーズ"シリーズもそうだけど、ドニー・イェンとかイコ・ウワイスとか、アジアのアクションスターの使い方をアメリカの人は分かってないのですよ! プンプン。あっ、そういえばドニー・イェンの体術をきっちり見せてくれなかった"ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー"を監督したのは"GODZILLA"ギャレス・エドワーズだったな! もうイエロー2枚でレッドカードだぞ(何が)! そんな理由で"ローグ・ワン"をけなす人もそういないと思いますけどね(笑)。いや、Heiroも"ローグ・ワン"好きですよ。ベン・メンデルソーンが空のデス・スターを見上げるシーンの切なさは凄まじかったよ(謎のフォロー)。

 

本作で一番良いキャラだったのは髑髏島の先住民で聾の少女ジアですね。いつでも一番肝が据わってたし、コングとE.T.ごっこしてたのも微笑ましかった。ただ普通に考えて、コングにはジアの指の感覚はなかったと思いますけどね(笑)。人が蚊に刺されてもその時には分からないのと同じで。コングとの手話の場面はコングの知能の高さが明らかになるだけでなく、非常にエモーショナルなシーンでもありました。人間側のドラマが乏しいだけにね。ジアを演じたケイリー・ホトルは実際に聾で、韓国とアメリカのハーフだそう。これが初めての映画出演のようですが、すごくキュートで存在感のある女優でした。役柄と同様に聾の女優といえば、"クワイエット・プレイス"シリーズのミリセント・シモンズもそう。実際に障害のある女優では"RUN/ラン"のキーラ・アレンもそう。こういう人たちは中々映画にキャスティングされませんが、良い女優いっぱいいるじゃん! 可哀想だからキャスティングしてあげろって言ってるんじゃないよ。面白い人がたくさんいるからだよ!!

heiro-chloe.hatenablog.com

heiro-chloe.hatenablog.com

 

ミリー・ボビー・ブラウン扮するゴジラ派のマディソンと行動をともにするジョシュを演じたのはジュリアン・デニソン。どっかで見たことあんなと思ったら"デッドプール2"のファイヤーフィストだね! ファイヤーフィストの名前はラッセル。マディソンのファミリーネームは? ラッセル。ワオ。さらにこの2人と一緒に行動するバーニーは陰謀論者ということになってますが、結果的に彼は正しかったことが証明されます。数々の陰謀論が蔓延するこの世の中でこの展開はどうなんだ(笑)? エイペックス・サイバネティクス社の社長令嬢マイアを演じたのは"ベイビー・ドライバー"エイザ・ゴンザレス。コングを猿呼ばわりしたりと人間的には割とサイテーなキャラでした。コングに乗り物ごと潰されそうになって「ヤメテヤメテ」言ってましたが、「絶対に押すなよ!」の裏の意味を理解している頭の良いコングにそのまま潰されてました。まあ本望でしょう(笑)。怪獣映画で怪獣に殺されたんだからね。っていうか、前作でマディソンの母エマを演じていたヴェラ・ファーミガが当然のように出てこないけど、すでに死んでるのね? 前作じゃその最期は映ってなかったような気がするけど、まあ良いや。細かいとこ覚えてないし。

 

地下世界は重力が反転してるという夢の(謎の)設定になってます。キルスティン・ダンストが出てた"アップサイドダウン 重力の恋人"みたいな感じね。Heiroが地下に行くのは7,8年前くらいに観たっきりの"ザ・コア"以来かな? あっちの地下には夢も希望もないですけどね。他のキモい怪獣も出てきますね。怪獣というか虫みたいでしたけど。そこでゴジラの背びれから作られた青い斧をゲッチュ。

 

そして、エイペックス・サイバネティクス社により密かに作られていた汎用ゴジラ型決戦兵器メカゴジラが降臨。はい出た小栗旬。脳がメカゴジラとリンクしているレン・セリザワさんでしたが、トラブルでビリビリ死。この世の全てのしがらみから解き放たれたような白目と恍惚の表情を見せてくれます。日本の宣伝じゃ小栗旬の出演がプッシュされてたのに、実際は(ブラック)コメディリリーフにも見える役回りでした。これがハリウッドデビューで良いのか小栗旬(笑)!! ファンはどういった心境なんでしょう。誠に遺憾ですか? それとも彼の秘められた表情が拝めてラッキー(笑)?

 

高層ビルのネオンが怪しく光る香港でのゴジラ対コング戦は最高でしたね。ヴィジュアル的にも近未来みたいでカッコ良かったし。結局コングは負けて死にかけますが、やっぱり戦闘力じゃゴジラに敵わないのか。だって斧もゴジラのパワーだもんね。放射熱線食らったらひとたまりもないしなぁ。一応事前に言われてた通り、勝敗はついたことになりますね。ある意味当然の帰結ではありますけど。

復活したコングは、ジアの説得により制御不能になり暴れ回るメカゴジラを滅するため、仲間を殺してきた宿敵ゴジラと共闘することに。怪獣にドラマ背負わせることに成功してるじゃん! ここのメカゴジラの倒し方が良くて、四肢を切断していって最後に首チョンパします。メカだから問題ないですけど、本来なら結構なゴア描写です。このあたりはホラーばかり撮ってきたアダム・ウィンガードならではのセンスなのかも。

 

あー超面白かった。さて、今後の展開はどうなるか……。

 

 

★★★★★★★☆  7.5/10

Rotten Tomatoes  75%,91%

IMDb  6.4

マディソンもジアと同じくらい活躍して欲しかったねぇ。