Heiroのシネマ・ミュージックフロンティア

Heiroによる、辺境の映画・音楽を紹介・レビューするブログです。(映画レビューの際はのっけからしこたまネタバレします。映画は★、音楽は☆で評価) ツイッターアカウントはこちら→https://twitter.com/chloe_heiro0226

"フリー・ガイ(Free Guy)"(2021) Review!

ガイじゃなくとも、誰しもがフリー・(ウー)マン。

(※"レディ・プレイヤー1"のオチに触れています)

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公式トレイラー


www.youtube.com

 

ナメてましたこの映画。それなりに笑えて、それなりに興味深く、最後はそれなりに感動させて締めるんでしょうと。いやいや、そんなもんじゃなかったですよ。同じような感想の人もチラホラ見かけますね。

 

 

あらすじ

ガイは犯罪行為何でもありのオンラインゲーム"フリー・シティ"の中のモブキャラ。毎日のように勤め先の銀行で強盗に遭い、何の抵抗もせずニコニコしてるのが仕事のガイだったが、ある日ミステリアスな"モロトフ・ガール"に出会い、"人生"が一変する……。

 

スタッフ・キャスト

監督は"ナイト ミュージアム"シリーズのショーン・レヴィ

主演は"デッドプール"でお馴染みライアン・レイノルズが務め、"キリング・イヴ/Killing Eve"のジョディ・カマー、"スプリー"のジョー・キーリー、"ジョジョ・ラビット"の監督タイカ・ワイティティなども出演。そして……。

 

 

まず告知なんですが、この度、MOVIE MARBIEという映画情報サイトで、気になる劇場新作や配信作品の紹介記事を書かせてもらえることになりました(本名で)。この"フリー・ガイ"の記事も書きましたので、良ければサイトを訪れてみてください。今後も、大体週に2本のペースで記事がアップされる予定です。本作と同じ週に"ザ・スーサイド・スクワッド "極"悪党、集結""ザ・ハント"の記事も出てるので、どうぞよろしくです。

moviemarbie.com

 

この映画、トレイラーの感じから子ども向けだと思いませんでした? それこそ"ナイト ミュージアム"みたいな。実際観てみると、割と哲学的な映画でしたよ。オチにはちょっと言いたいこともありますけどね。

トレイラーの印象だと、グイグイ笑いを強制してくるような映画かなと思ったんですよ。特に、最近のライアン・レイノルズ"デッドプール2"とか、カメオ出演だけど"ワイルド・スピード/スーパーコンボ"みたいに……ってどっちもデヴィッド・リーチ作品なんで、そのせいかもしれませんけど(笑)。後、何回か言ってるけどタイカ・ワイティティ作品ね。基本的にはどれも好きなんですよ。ただ、笑いの種類がHeiroの好みどストライクってわけじゃないってだけで。一応、"ジョジョ・ラビット"を去年のワーストランキングに入れましたけど、それも観る前に高まりすぎた期待は超えられなかったってのが理由だし。まあ、今回のタイカ・ワイティティに関してもあんまり笑わなかったけど(笑)。ところで、スナミとコナミって何か関係あるの?

 

"レディ・プレイヤー1"のようにゲーム世界を長回し込みで見せてくれるシーンは圧巻でしたね。そこら中でどの瞬間も大惨事が起こってるのがすごく伝わるし、全く飽きませんでした。デザイン的には"レディプレ"のオアシスの方が好みでしたが。ガイが死ぬ度にすぐ次の朝になってお目覚めするのを繰り返しますが、そこはちょっとループものっぽい雰囲気で。現実世界からゲーム画面を見ると、割とグラフィックが粗いのも笑いました。俳優が実際に"ティーバッグ"という煽り行為(倒した敵の顔面上で屈伸する)をしてる場面はえらくシュールでしたね。サングラスで"フリー・シティ"の真実が見えるようになるのは、"ゼイリブ"へのオマージュだったりするのかな?

heiro-chloe.hatenablog.com

 

いつも通り人の好いライアン・レイノルズももちろん良いですが、やっぱりジョディ・カマーでしょう! "キリング・イヴ"でのサイコパス暗殺者ヴィラネル役は、まああれはあれでクレイジーすぎて面白かったですけど、今回は普通に可愛い。等身大で。クールなモロトフ・ガールと意外にガーリーなミリーの2役を務めてるので、魅力倍増でおトクです。顎に手を当てるぶりっ子ポーズまでやってましたが、モウマンタイです。圧倒的無罪です。

 

面白そうなルックに甘えず、脚本が良くできていたと思います。皆と違い自由度の高い行動をとるガイは、実はミリーと相棒のキーズが前に作ったゲーム"ライフ・イットセルフ"内のプログラムで、ミリーへの恋から本格的にAIへと進化。しかし"マトリックス"のネオよろしく、"フリー・シティ"が虚構の世界であることに気づく。その後、親友のバディの「少なくとも、親友を助けたいこの気持ちはリアル以外の何物でもないだろ」というデカルトの「我思う、故に我あり」みたいな言葉に助けられ……。タイカ・ワイティティ演じるこっすいアントワンが"ライフ・イットセルフ"のプログラムを"フリー・シティ"に流用してたことで、逆に活路が開けるのも納得が行く展開でした。ガイの影響で、コーヒーショップ店員のバリスタ魂に火が付いたり、トロフィー的な扱いを受けていた美女が作家になったりするのも笑えると同時に感動しましたし。ありそう(笑)。ここぞという時に「Catchphrase!(決めゼリフ!)」としか言えないデュードも良かったし、ガイが彼を倒すのではなくサングラスをかけて目を開かせるのが、ガイらしくも予想以上に爽やかな解決策でぶっ飛びました。倒すよりスカッとさせてくれるなんて!! この戦いでキャプテン・アメリカの盾(とクリス・エヴァンス)、ライトセーバーなどが登場し、おったまげました。これ、製作の20世紀スタジオがディズニー傘下だからできたんだよね? 特に去年、ディズニーはあれだけ劇場で宣伝してもらってたのに、公開の目途が立たないと判断するとすぐDisney+での限定配信に切り替えるという、まあ背信行為とも言えるようなことをして反感を買いましたよね。個人的にも「それはちょっと」と思いましたが、本作でコンテンツのトッピングをされただけで嬉しがっちゃって。もっと心を鬼にするべきなのかと葛藤しつつ。"レディプレ"ではスピルバーグ力であれだけのコラボしてたから、素直に感心しましたけど。顔出しカメオではチャニング・テイタムも出てましたね。久々に見ました。他にも、声だけの出演とかでたくさん出てるみたいですよ。興味があったら調べてみてね。

 

それで、問題のオチね。結局、ガイはそもそもキーズがミリーに当てたラブレターだった、ってことになりますが、これでガイの存在が矮小化されない? やっぱりただのプログラムだった、って言われてるみたい。これまで観客はキーズではなくガイを追っかけて観てきたわけだし。そりゃガイとミリーの恋愛には先がないし("her/世界でひとつの彼女"を撮ったスパイク・ジョーンズは違う意見かも)、最後にもう一捻りすること自体はサービス心旺盛で好感持ちますけどね。最後の最後でキーズとミリーの恋愛に落とし、現実に帰ってくる展開はオトナですね。"レディプレ"のウェイドとサマンサはどっちも現実世界の存在だから、最後にくっついてもオトナな感じはなかったんだけど、こっちでは「ゲームとリアルは分けろ」って言われてるみたいでした。そういう意味では、もしかしたら"レディプレ"勢と"フリー・ガイ"勢で派閥は分かれるかもしれないね。

 

実際どうか分からないけど、"Free Guy"ってタイトルは「free (wo)man」のもじりなのかな。「自由人」、つまり運命を自分の意志で切り開いていける人のことです。運命の奴隷にはならずにね。

 

 

★★★★★★★★  8/10

Rotten Tomatoes  81%,95%

IMDb  7.7

でも小心者なので、本作のように「君は世界を変えられるよ!」と言われるよりも、"インセプション"みたいに「実は主役は君じゃないよ」と言われた方が何か安心しちゃうな……。