Heiroのシネマ・ミュージックフロンティア

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"スイートガール(Sweet Girl)"(2021) Review!

人は死んでも愛する人の中で生き続ける。

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公式トレイラー
MOVIE MARBIEで記事書きました! よろしければ。
 
さて、これはリーアム・ニーソン映画じゃないです。ジェイソン・モモア主演だから……ってそりゃそうなんですが、"96時間"系の痛快リベンジものではなかったです。リベンジものなのは間違いないんだけど……。とにかく、スカッとしたい時に観る映画ではなかったです。
 
 
あらすじ
レイの妻アマンダのがんが再発した。現在使われている抗がん剤インフォーマムは高価すぎて手が出せずにいたレイだが、別の会社によりスペロというジェネリック薬が開発され、胸を撫で下ろす。しかし、突然スペロの発売が延期され、アマンダは満足な治療が受けられないまま死んでしまう。この発売延期の裏には、インフォーマムを開発したバイオプライム社の思惑があったことを知り、レイは黒幕に復讐しようと動き出す……。
 
スタッフ・キャスト
監督はこれが長編デビュー作のブライアン・アンドリュー・メンドーサ。
主演はDCEUでアクアマンを演じているジェイソン・モモア。レイの娘レイチェル役を務めたのは"ボーダーライン: ソルジャーズ・デイ"のイザベラ・メルセド(元イザベラ・モナー)。他。
 
 
何で邦題「スウィートガール」じゃないんですかね。別に良いんですけど。さて本作、鑑賞への態度によってかなり満足感が変わると思われます。あんまり鉄拳が敵の顔面に炸裂する映画と思って観ない方が良いですね。
 
序盤は割と予想外の展開になって良かったと思います。アマンダが死ぬ直前、テレビに出てたバイオプライム社CEOとレイが番組内で電話で話し、「妻が死んだらお前を殺す」と言いますが、実際は何もしないまま半年経ちます(殺人予告だって問題にならなかったのかな?)。そして、製薬会社の陰謀を暴きたいジャーナリストがレイに協力を持ちかけ、レイチェルには留守番を任せ2人で会うことに。このレイチェル、留守番だって言われた時は了承してましたが、ちゃっかりレイを尾行していました。しかし2人が電車で落ち合うと、レイはあんまり乗り気じゃありません。しかもジャーナリストは殺し屋によって殺され、そのままレイとレイチェルも襲われます。このあたり、常にいきなり画面に映ってない方向から人物が現れ予期せぬ動きをしてくれるので、割とハラハラしました。レイが腹部を刺されるシーンとかね。この後、「24か月後」って字幕が出るのでちょっと笑いました(細かいこと言えば、この字幕が出るタイミング少し早すぎる気がしますね。後数秒遅い方が良い気がする)。序盤で2回も大きく時間が飛ぶ……。ここで、「あっレイ死んだな」と思いましたが、その後レイチェルと普通に話すシーンになります。再登場時、先に窓にレイの姿が映ります(しかも奥からニュッと出てくる。怪しいでしょ(笑)?)。この時も、まだレイは死んだと思ってましたが、その後レイ単体で映るシーンも結構あるので、「あれっ本当に死んでなかったの……?」と考え直しました。本当は死んでたんですけどね(笑)。後々の展開も観ていくと、レイが生きてるとすると何か引っかかるシーンがちょくちょく出てきます。例えば、レイが銃の練習をするところ。めちゃ外しまくりです(笑)。今回のジェイソン・モモアはただの一般人だから、スーパーパワーはお預けなのかなと思ったら、実際はレイチェルが撃ってたわけですね。劇中に映ってる大半のモモちゃんはレイチェルか、レイチェルの妄想です。両方が混在してるので、描き方としてちょっとフェアじゃない気もしますが、まあ別に良いや。レイとレイチェルで名前が似てるのも、同一人物であるという演出のひとつでしょうかね。こういうのは好きです。途中まで、「父親が殺人犯になるなんて娘が可哀想だなぁ……」と思ってましたが、杞憂に終わりました。いや余計可哀想な展開だわ。何か最近、善人が殺人を犯す映画を観ると爽快感じゃなくて悲しくなっちゃったりします。それこそ、これが分かりやすいリベンジアクションならスカッとできたんでしょうけど……だって、復讐は果たしたけどレイチェルこの先、人並みに暮らせんの? もうレイは見えなくなるかもしれないけど、人として一線越えちゃってるからねえ……。「人は死んだ後も愛する人の中で生き続ける」とか言いますが、ある意味これがその最悪の形ですね。思い出に止めていた方が良いこともある。……やっぱり、これ"ジェイソン・モモア映画"にするべきだったのでは(笑)? もちろんそれとは明確に違う方向性にトライしたかったのは分かりますがね。
 
レイチェルはボクシングをやってて、筋が良いとか褒められてましたけど、刺客たちをあれだけやり込めたわけですよね。強すぎね? 最後は"ノーカントリー"のアントン・シガーみたいな(あそこまでじゃないけど)サントスまで倒すし。イザベラ・モナ……イザベラ・メルセドの戦うヒロイン役は今後も見たいですね。まだ"ボーダーライン: ソルジャーズ・デイ"でしか見たことないんですけど、生意気な役が似合います。っていうか皆さん彼女が改名したの知ってました? もう2年も前にしてたみたいですよ。全く気付かなかった。不覚。え? そもそも存在を認知してなかった? じゃあここで覚えてお帰りください。イザベラ・モナ……イザベラ・メルセドです。
 
今回のモモちゃんは、多くの観客の目にどう映ったんでしょうか。やっぱりアクアマンの俳優として捉えてる人が多いと思いますけど。Heiroもそうだし。こういう地に足のついた(幽霊みたいなものだし、幽霊に足はないが……)役は新鮮なので、そういう意味では観て良かったかなと思います。作品としてはまずまずですかねー。Rotten Tomatoesの批評家スコアでは引くほど大不評ですけど、そこまで口汚く罵る気にはならないな。観客スコアも高くないのは、おそらく本作に臨む姿勢を間違えたんでしょうね。観客は別に悪くないけど。
 
全く関係ないけど、アメリカでも指切りげんまんあるんだ。しかも「pinky swear(小指の誓い)」と言うんだと。へぇへぇへぇ……12へぇ。さらに、これは日本かどうか分からないけど、100年以上前からアメリカでも使われてたと。へぇへぇ……おめでとうございます! 20へぇ達成です!
 
 
★★★★★★  6/10
Rotten Tomatoes  16%,44%
IMDb  5.5
モモちゃんの新作"DUNE/デューン 砂の惑星"の評価良いよ! さすがドゥニ・ヴィルヌーヴ。期待してます。