Heiroのシネマ・ミュージックフロンティア

Heiroによる、辺境の映画・音楽を紹介・レビューするブログです。(映画レビューの際はのっけからしこたまネタバレします。映画は★、音楽は☆で評価) ツイッターアカウントはこちら→https://twitter.com/chloe_heiro0226

Barock Project/"Detachment"(2017)

ピアノ好きプログレッシャー歓喜

 

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今回紹介するのは、イタリアのプログレッシヴロックバンド、Barock Project(バロック・プロジェクト)の5thアルバム、"Detachment(ディタッチメント)"です。これは傑作だと思います。国内盤あります。

 

まず、Barock Projectってバンド名が良い。バロック音楽のbaroqueと、ロック(rock)がかかっています(ドイツ語のバロックはbarockみたいだけど……イタリアのバンドだからその単語とは別でしょう(笑))。クラシックのエッセンスと、キャッチーでポップなメロディが融合した音楽性で、非常に爽やかで聴きやすいです。コンポーザーがキーボーディストのルカ・ザッビーニなので、どの曲もキーボード(ピアノ)の存在感が抜群(しかもヴォーカルも担当してるし、その上イケメン)。Heiroは幼い頃にピアノやってたので(今では見る影もない)、一番聴いてて楽しい楽器はピアノです。

 

3rdアルバム"Coffee In Neukölln(コーヒー・イン・ノイケルン)"、4thアルバム"Skyline(地平線)"、そして最新作の6thアルバム"Seven Seas(セヴン・シーズ)"は持ってて聴いてますが、その中でも一番本作が好きかな。ジャケのようにアダルティーな味わいです。ヘンな意味でなく。

 

 

#1. "Driving Rain"

1分しかない短いインスト。雨と車のSEから始まり、ピアノがしっとりとした美しいメロディを聴かせ、リスナーの期待を煽る。

 

#2. "Promises"

"Driving Rain"からシームレスに繋がる実質最初のナンバーで、メロディは"Driving Rain"の延長。爽やかでキャッチーながらも、イントロ・Aメロは7/8拍子、サビではテンポが半分になるなどちゃんとプログレしている。間奏では変拍子が炸裂するヘヴィなアンサンブルが聴ける。

 

#3. "Happy To See You"

"Promises"とは打って変わって穏やかで物悲しい曲。こちらもやはり拍子がコロコロと変わる曲だが、それを感じさせない聴きやすさ。ストリングスも入り叙情さを演出する。

 

#4. "One Day

アコギで始まり、ピアノとストリングスが絡んでいくクラシカルな曲。前半は落ち着いているが、フルートの入った少々ヘヴィな間奏の後に一気にアップテンポになる。前半のメロディを違うアレンジで聴かせてくれるので2倍お得。

 

#5. "Secret Therapy"  

アコギの奏でるエキゾチックで小気味良いメロディから始まる。サビは開放的で、要所要所のキメも心地良い。2番のサビの後はアコギが引っ張るメロウなパートに。

 

#6. "Broken"  

本作で最も美しいメロディが堪能できるキラーチューン。ヴォーカルは現Camelのピーター・ジョーンズにバトンタッチ。イントロはエレガントでクラシカルなピアノで始まり、徐々にオルガン、ストリングス、ベース、ギターが入って盛り上がっていく。後半は女性ヴォーカルも加わって、イントロのメロディに戻りしめやかに幕を閉じる。9分の大曲だが、流れが自然かつ起伏があり、長さを感じさせない。

 

#7. "Old Ghosts"  

謎めいたアトモスフェリックなピアノと歌で始まり、途中からはアコギの軽快なカッティングも。終盤でヘヴィになるも、再度ミステリアスなピアノに戻る。

 

#8. "Alone"  

ピアノ主体の美しいバラード。ヴォーカルはピーター・ジョーンズが務め、終始物悲しい曲調だが、最後の最後にわずかに光が差す。

 

#9. "Rescue Me"  

海岸線を走り抜けるような爽やかな疾走感のあるロック。例に漏れず変拍子バリバリだが、ポップすぎて気にならない。

 

#10. "Twenty Years"  

アコギ主体のイントロはメランコリックだが、所々ストリングスが入り明るくなる。中盤からプログレッシヴでシンフォニックなバンドサウンドが展開。

 

#11. "Waiting"

電子的な一定のリズムパターンに加工されたヴォーカルやシンセが乗る1曲。

 

#12. "A New Tomorrow"

牧歌的な雰囲気の曲。中盤からはやはり変拍子を効かせたアンサンブルに展開し、ノリ良く聴かせる。一旦落ち着くピアノパートではやはりクラシカルなテイストに。

 

#13. "Spies"  

哀愁漂うメロディが印象的なナンバー。前半は変拍子を交えながらもゆったりしているが、中盤はスリリングに。後半は前半のメロディを叙情的にリフレイン。

 

#14. "Behind"(Bonus)

一番ピアノの主張が激しいオシャレな曲。きちんと他の曲とも調和している。国内盤ボーナストラックなので、やはりそっちを買った方が良いかと。

 

 

★★★★★★★★☆  8.5/10

こういうプログレが増えると世界も平和になる。ホント上品……。