Heiroのシネマ・ミュージックフロンティア

Heiroによる、辺境の映画・音楽を紹介・レビューするブログです。(映画レビューの際はのっけからしこたまネタバレします。映画は★、音楽は☆で評価) ツイッターアカウントはこちら→https://twitter.com/chloe_heiro0226

MiddleIsland/"PSY -サイ-"(2008)

同人音楽界きっての情念ポップス

 

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このブログの一番初めの記事でやったっきり、音楽レビューしてなかった(笑)。このままだとブログ名詐欺なので、久々にやってみよう。

 

いきなり血生臭いジャケットですみませんね(笑)。これは音楽ユニットMiddleIsland(ミドルアイランド)の3rdミニアルバムで、"PSY -サイ-"という作品です。有名ではないけど面白い音楽を知りたい人にとって、同人音楽はかなり興味深い領域だと思います。Heiroは大学受験の勉強してた頃に、部屋の模様替えの代わりに新しい音楽探ししてまして(おい)、その時に今の好みに繋がる道を見つけました。それがメタルや同人音楽。存在が世間一般的に有名になってると言えるのかどうか分かりませんが、Sound Horizon(サウンドホライズン)なんかは同人音楽出身の大御所ですね(本当にRevoさんは天才だと思う)。商業主義に毒されず自分のやりたい方向性を追求できるのが同人音楽なので、とてもユニークな曲たちで溢れています。その中でも特にMiddleIslandはオススメ。中島さんというコンポーザーが中心となり(だからMiddle(中)Island(島))、サポートとして女性ヴォーカルの紫さんが参加しているユニット。なので、インストのアルバムも多く出していますが、個人的にはヴォーカルありのアルバムの方が好きです。何てったって、そもそも曲がメランコリックでメロディアスなんで、紫さんのハスキーな激情ヴォーカルが完璧にマッチしてるんですな。真面目に、同人音楽に限らず女性ヴォーカルの中で一番好きな声かもしれない。このミニアルバムは他のアルバムのようにメタル色がそこまで強くないので、いつものMiddleIslandとは少し毛色が違うんですが、曲のクオリティーはピカイチだと思っております。本作の方向性はゴシック……という言い方で合ってるのかな?

 

#1. "鳴弦"
短いインスト。エモーショナルなストリングス、クラシカルなピアノ、壮大なクワイアなどが用いられ、収録曲のメドレーのような構成になってるので、これ一曲にMiddleIslandらしさ、本作らしさが詰め込まれていると言って良いだろう。

 

#2. "繭"  ♥

ザ・MiddleIslandなキラーチューン。この曲を気に入る人は他のアルバムもイケるはず。歌詞もそうだしメランコリックなメロディだが、よくある「病んでる」感じではなく、演歌的というか歌謡曲的というか、日本人に馴染み深い世界観(多分)。雰囲気も鬱でなく躁。美メロをガンガン畳みかけてくる。紫氏の絶唱がアツい。アツすぎる。

 

#3. "二重絶望"  ♥

またキラーチューン。壮大なストリングスで始まるバラード。物悲しい曲だが、進むごとに盛り上がり、やはりサビでは激情がたぎる。

 

#4. "カメリア"  ♥

さらにキラーチューン。チェンバロによる怪しいメロディで始まるタンゴ(かな?)曲。コッテコテのゴシック。

 

#5. "呵責"  ♥

まさかのキラーチューン。歌謡ジャズと言えそうな曲で、基本寂しげなメロディだが、大サビ前の感想でわずかに明るくなるのがニクい。こういうテイストの曲が増えれば世界はもっと平和になる。Heiroの心も平和になる。

 

#4. "PSY -サイ-"  ♥

最後にもひとつキラーチューン。収録曲の中で唯一明るい曲調で、朝日が昇るようなエンディングだが、MiddleIslandらしさはしかと刻まれている。名曲中の名曲。

 

 

★★★★★★★★★☆  9.5/10点

本作は紛うことなき名盤ですが、前にも後にも同じような方向性の作品は(多分)なく、そこだけが不満な点。あ、後はもっと曲が多ければ……(笑)。