"ハープーン 船上のレクイエム(Harpoon)"(2019) Review!
とんでもハップン、もといハープーン
公式トレイラー
未体験ゾーンの映画たち2021の4本目。個人的期待度は6位でした。本作も、その評判の高さは聞きながら日本上陸するとは思ってなかった内の一本なんですが、超低予算だろうにかなり面白かったです。やっぱりお金は良い映画の必要条件じゃないね。
あらすじ
ジョナは、恋人のサーシャを取られたと勘違いした親友のリチャードから半殺しにされる。リチャードは罪滅ぼしに3人でのボート日帰り旅行を計画するが、それが海上サバイバルの幕開けになるとは誰も予想していなかった。
スタッフ・キャスト
ジョナ役は"ターボキッド"のマンロー・チェンバーズ、リチャード役はNetflixドラマ"ザ・ソサエティ"のクリストファー・グレイ、サーシャ役はドラマ"フレッシュ・アンド・ボーン"のエミリー・タイラ。
マンロー・チェンバーズは、本作でいきなりボコボコにされる不運な男を演じています。いや、「本作でも」と言うべきか。チャリ版"マッドマックス"と名高い"ターボキッド"も超面白かったですけど、あの映画で印象に残るのは、確実に主人公のターボキッドを演じたマンロー・チェンバーズよりもヒロインのアップルを演じたロランス・ルブーフだから(笑)。悪役のマイケル・アイアンサイド御大をも差し置いてね。アップル最高でしたよホント。
さて今回の"ハープーン" 。舞台はほぼ海上にポツンと取り残されたボートの上だけだし、出てくる人物は3人しかいません。タイトルが「戦場のレクイエム」だったら完全に悲惨な戦争映画だったんですけど、本作は悲惨ながらも非常にスリリングだし笑える映画になってます。悲惨さがホントに目も当てられない。
最初は半殺しにされたジョナが可哀想な人で、勘違いで友だちを半殺しにしたリチャードがヒドいヤツで、その間に立たされるサーシャがご苦労さまですポジションなのかと思いきや、色々と伏線回収しつつキャラの第一印象を裏切っていきます。ボートが動かなくなって、広い海の上で立ち往生する羽目になり最初は憎み合いますが、途中から皆が半ば諦めてバカみたいな話で打ち解けたり、やっぱり誰が生き残るかで対立したり。登場人物たちの関係のダイナミズムが良く描けていて、舞台劇かというくらい、密室的な状況で互いの立場がコロコロ変わります。harpoonとは銛(モリ)のことですが、劇中で出てくるそれは銛でなくスピアガンだと何度も訂正されます。観客が「こうだ」と思ったらすぐさまそれが否定される、本作のストーリーテリングのようです。とんでもない展開が続いて相当面白かったんですが、せっかくなんで事細かにネタバレしない方が良い気もしますね。監督のロブ・グラントはインタビューで、
Mediocrity is death.
https://borrowingtape.com/interviews/harpoon-interview-film-writer-director-rob-grant
「平凡は死だ」 と言っています。確かにこの映画は平凡ではありません。内容はその目で確認せよ! チェキ!
★★★★★★★☆ 7.5/10点
Rotten Tomatoes 97%,57%
IMDb 6.0
ボートの外には青い海、ボートの中は赤い血の海! ゴアもたっぷり!