Heiroのシネマ・ミュージックフロンティア

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"ロキ(Loki)"シーズン1(2021) 完走(感想)。

自分を好きになろう。

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公式トレイラー


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いやあ。今年のマーベルドラマの中で"ワンダヴィジョン"よりも"ファルコン&ウィンター・ソルジャー"よりも期待してたのがこの"ロキ"でしたが、その期待に見事に応えてくれました。さすがロキ、「裏切らない」ね(これって悪口になるの?)!

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何でロキってあんなに可愛いんでしょうか? 嘘ばっかりついてすぐ裏切るし、近くにいると絶対めんどくさい相手ですけど、どうしても小物っぽいからね。どんなに計画通りに行ってて調子に乗ってても最後には失敗しそうだし。本作でもそんなロキの魅力がバクハツしております。やっぱりロキ役はトム・ヒドルストンしかいませんね! あの胡散臭い笑顔とスマートじゃないウィンクがたくさん拝めます。しかも、酔っ払いながらのヘンな歌(アスガルドの歌?)も披露してくれます。最高。

 

このドラマ、時間がテーマなだけに設定が複雑であんまりピンとこない部分があったので、「変異体」については"シュタインズ・ゲート"でいう所の「別世界線」のロキなんだなと捉えて観てました。様々な世界線、様々な可能性のロキが一堂に会するシーンはアツかったですね! 老人のロキ(リチャード・E・グラント)、黒人のロキ、ソーを殺した子どものロキ……そしてワニのロキ。何でロキがワニである世界があったのか1ミリも分かりませんが、天下のディズニーの下で切り株描写(しかもターゲットは別ロキの腕!)をやったのは快挙だと思います。

特に良かったのはシルヴィこと女版ロキを演じたソフィア・ディ・マルティーノ。Heiroが観た中だと、"イエスタデイ"や超大好きな"ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出"にも出てた女優のようですが、本作で初めてちゃんと意識してみました。確かにロキの女版って感じもするし、プライド高そうな顔がハマってます。

シルヴィって名前も可愛いよね。小悪魔っぽくて。ロキがコミカルに自分の性(さが)に向かい合っていたのに対して、シルヴィはシリアスに自分の性に向かい合ってたような気がします。ロキとシルヴィが互いについて語り合う場面は、まるで自分で自分に語りかけているような感じもあり。自分が一番大好きだったロキが、これまでの生き方をやめシルヴィを選び、ロマンチックな口づけを交わすシーンは最高でしたが、これ結局ナルシシストが加速してるだけなんでしょうか(笑)? まあまあ良いんですよ。自分が好きなのは良いことです。

 

時間変異取締局(TVA)がめちゃめちゃお役所っぽかったのは"未来世紀ブラジル"感ありましたね。全ての元凶と思われたタイムキーパーがただの機械だったのは"オズの魔法使"っぽかったですし。終盤、老人ロキが大規模なアスガルドの幻を作りだしますが、それが緑色の大都市で、まさにエメラルドシティといった具合("オズの魔法使"の前日譚ミュージカル"ウィキッド"に出てくるイケてる街)。

時間をテーマにしてるだけに、ループのギャグが使われてるのも良かったです。シフにめっちゃ殴られてましたね(笑)。唯一絶対のタイムラインである神聖時間軸を乱す存在は、謎の光る棒によって「剪定」されます。響きが怖い。「剪定する」って、英語で「prune」って言うんですね。プルーン。ミキプルーン……。あれっ怖くない。

 

「剪定」とは存在が消されることだと思ってずっと見続けていましたが、後で実は「時間のゴミ捨て場」みたいなとこに転送されていただけだと判明します。まあ、そこにずっといたら掃除屋さんみたいのに食われちゃうんで同じことなんですけど。最近映画であんまり見ないオーウェン・ウィルソンがせっかく出てきたのに剪定されちゃうからもったいねえ! と思ったけど、大丈夫でした。ロキの友だちになったし。良かったね。オーウェン・ウィルソン演じるメビウスの同僚としてググ・バサ・ローが出てますが、こんなネームバリューある人がただの同僚なわけないじゃんと思ったら、黒幕とはいかなかったですけど話を引っ掻き回してくれましたね。TVAの人としてチョイ役でサッシャ・レインが出てきてましたが、こないだのすげー記憶に残らないリブート版"ヘルボーイ"に続いてのコミック映画出演ですな。今回は本当に良いとこない役回りでしたが(笑)。

 

黒幕、本当のヴィランであるカーンを演じたのはジョナサン・メジャース。この人"ラヴクラフトカントリー 恐怖の旅路"の人ですよね? "アントマン"シリーズ3作目の"Ant-Man and the Wasp: Quantumania"にも出るようです。最終話では、5話までに比べて恐ろしくテンポを悪くしてまでこのキャラの性格を描こうとしてましたが、今後登場するカーンはこのカーンとは別の個体なんですよね(笑)? さーてどうなる。そして"ラヴクラフトカントリー"も観ないといけないんじゃないかというプレッシャーが……。"ラヴクラフトカントリー"って日本で配信された後に一度観れなくなって、やっとまた復活したとこなんでね。この機を逃すわけには……あああ時間が足りないよ。TVAの人、何か良い機械を貸してくれ。

 

マーベルって、神だろうが何だろうが人間っぽく描いてきたじゃないですか。そこでカーンっていう「これまでのお前の道のりは私が用意したものだったのだフハッ」ってどう考えても運命を司る神みたいなキャラが出てきてさ、相対的にロキとシルヴィは人間にしか見えなくなってるよね。一応あなた方神さまなんですよね(笑)? 神のインフレが起こってて、シルヴィも最愛のロキを裏切っちゃって今後の展開が大変そうなんですが、シーズン2やってくれるみたいなので期待して待ちます。とりあえずこれでマーベルドラマも一区切りついたな……。

 

あっ、ミス・ミニッツがお気に入りでした。