Heiroのシネマ・ミュージックフロンティア

Heiroによる、辺境の映画・音楽を紹介・レビューするブログです。(映画レビューの際はのっけからしこたまネタバレします。映画は★、音楽は☆で評価) ツイッターアカウントはこちら→https://twitter.com/chloe_heiro0226

"未体験ゾーンの映画たち2021"の個人的注目作

このニュースで年末を生き延びよう。

今年もついにこの季節がやってきた! 年が明ければすぐ、未公開映画をまとめてドバっと公開してくれる一大イベント、"未体験ゾーンの映画たち"が始まります。他に似たようなイベントでは7月に行われる"カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション"通称"カリコレ"もあるんですが、今年はコロナ野郎のせいで流れてしまいました。枕を血の涙で濡らしましたが、来年はその分パワーアップするよう。2年分やってくれるの? かかって来いやぁ!!

"未体験ゾーンの映画たち2021"でも、毎年同様Heiroが公開を心待ちにしていた映画が何本かピックアップされています。絶対にいつか来ると思っていた作品から、絶対来ないと思っていた作品まで! 全42本(旧作もあるけど)の中から11本、期待度ランキング順に紹介します。

 

11. "ウィッチサマー(The Wretched)"(2019)

監督:ブレット&ドリュー・ピアース

Rotten Tomatoes  74%,46%    IMDb  5.8

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隣家の女性は人間の皮を被った1000歳の魔女だった! すでにアメリカでヒットしている、反抗期の少年が魔女に立ち向かうウィッチ・ホラー。

今年のベストホラーランキングでも割と見かけます。

 

10. "サタニックパニック(Satanic Panic)"(2019)

監督:チェルシー・スターダスト

Rotten Tomatoes  62%,47%    IMDb  5.6

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カツカツの生活を送るピザ配達人のサマンサ。その夜最後の注文は、処女の生贄を欲しているハイソな悪魔崇拝者たちからだった! 自分の人生……とチップのために、戦えサマンサ!!

設定はいつものやつですが、それを女性監督がどう料理しているのかが見物ですね。

 

9. "バッド・ヘアー(Bad Hair)"(2020)

監督:ジャスティン・シミエン

Rotten Tomatoes  64%,39%    IMDb  5.5

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TV業界での成功を目指す黒人女性の髪に意思が宿った! まさかの殺人髪の毛ホラー・コメディ。

近年、ジョーダン・ピールが黒人主役のホラーを盛り上げてますので、これもその流れに乗れるか!?

 

8. "スプートニク(Sputnik)"(2020)

監督:エゴール・アブラメンコ

Rotten Tomatoes  89%,N/A    IMDb  6.4

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ソ連の時代。謎の宇宙船事故を唯一生き延びた宇宙飛行士が地球に帰還する。だがそれは、彼の体内に潜んだ何者かの来訪でもあった。

多分Heiroにとって"惑星ソラリス"以来の初のロシア産宇宙SF。かなり評判高いので、期待大!

 

7. "アーカイヴ(Archive)"(2020)

監督:ギャヴィン・ロザリー

Rotten Tomatoes  71%,67%    IMDb  6.3

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2038年、ジョージは人間レベルのAI開発に取り組んでいたが、彼には誰にも話せない大事な目的があった。それは、死んだ妻と再会すること――。

勝手に"エクス・マキナ"×"エリザベス∞エクスペリメント"みたいになってるんじゃないかと期待しています。今回のAIヒロインはステイシー・マーティンです。

 

6. "ハープーン 船上のレクイエム(Harpoon)"(2019)

監督:ロブ・グラント

Rotten Tomatoes  97%,59%    IMDb  6.0

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リチャードは、恋人のサーシャを取られたと早合点し親友のジョナにパンチをお見舞いしてしまう。罪滅ぼしに3人でボートでの日帰り旅行をすることになるが、それが海上サバイバルの幕開けになるなんて。良い友だちって、なかなか見つからない。

超低予算っぽいのに、まさかの批評家大絶賛。3人の愛憎入り乱れる殺し合いが笑えて驚けて、って感じなのでしょうか。

 

5. "ダーリン(Darlin')"(2019)

監督:ポリアンナマッキントッシュ

Rotten Tomatoes  70%,50%    IMDb  4.8

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野生少女のダーリンは修道院に保護される。教会の宣伝のために教育され徐々に人間らしくなってくるが、彼女にはある秘密があり……。

胸糞悪い作品群でおなじみのジャック・ケッチャム原作、ラッキー・マッキー監督の"ザ・ウーマン 飼育された女"のまさかの続編であり、まさにそのザ・ウーマンを演じたポリアンナマッキントッシュのまさかの監督作。ゾンビ映画とはまた違った人かじり描写に期待。美少女ながらも野性味あふれるローリン・キャニーをダーリン役に(よく見つけてきたな)、また"マグダレンの祈り"で修道女に酷い目に遭わされていたノラ=ジェーン・ヌーンを修道女役に配すなど、キャスティングも光る一作。予告を見る限りノラ=ジェーン・ヌーンは悪い人物じゃなさそうなのも、"マグダレンの祈り"オマージュなのかも。っていうか、この配役マジでアツいな!!

 

4. "ラブ・エクスペリメント(Hippopotamus)"(2018)

監督:エドワード・A・パーマー

Rotten Tomatoes  N/A,N/A   IMDb  5.0

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ルビーは目が覚めると足が動かず、自分に関する記憶もない状態で地下室に監禁されていた。犯人の男はルビーに鎮痛剤を手渡し、「俺と恋に落ちるまで解放しない」と言い放つ。

これ、絶対に日本に入ってこないと思ってました。ロッテン・トマトでもデータが出てない実力未知数の作品ですが、ポスターや予告の雰囲気がどストライクだったのでこの順位に入れています。「"ルーム"や"10 クローバーフィールド・レーン"レベルの息をのむような作品」なんてコメントも寄せられています。ルビー役には"ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー"で若き日のレイア姫……の顔以外を演じたノルウェー出身女優のイングヴィルド・デイラ(たぶん本当の発音はイン(グ)ヴィル・デイラ)。非常に小柄なキャリー・フィッシャーの体形に似ていたようで。ノルウェーフェリシティ・ジョーンズみたいな、33歳にして少女のような見た目の女優です。動画で確認しましたが、声もかわいい(大事)。もっと周知されればアリシア・ヴィキャンデルみたいに日本でも人気出るんじゃないかと思います。ノルウェー人女優は日本じゃ超レアですからね。なぜ原題がヒポポタマス(カバ)なのか。面白いと良いな。

 

3. "シンクロニック(Synchronic)"(2019)

監督:アーロン・ムーアヘッド&ジャスティン・ベンソン

Rotten Tomatoes  81%,76%    IMDb  6.6

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ニューオーリンズの救急隊員、デニスとスティーヴは連日、変死体や不可解な症状の患者を目にしていた。原因を調べると、「シンクロニック」というドラッグのせいだと判明。その後、デニスの娘がシンクロニック服用後に失踪し、スティーヴは重度の脳腫瘍で余命6週間と宣告される。シンクロニックには過去へのタイムトラベルができるという驚愕の事実を知り、デニスの娘を救うためスティーヴは時空の旅に出る。

奇抜なB級SFスリラー作家としてやっと有名になってきた感のあるアーロン・ムーアヘッド&ジャスティン・ベンソンの最新作。美人の彼女は太古のモンスター系ラブロマンス"モンスター 変身する美女"や、文字通り時間が止まっているカルト教団ホラー"アルカディア"に続いてタイムトラベルドラッグスリラー(パワーワードすぎる)ですからね、キャッチーさがハンパないです。主演にも"アベンジャーズ"シリーズのアンソニー・マッキーと"フィフティ・シェイズ"シリーズのジェイミー・ドーナンを配してますから、クオリティは保証済み。

 

2. "BLISS ブリス(Bliss)"(2019)

監督:ジョー・ベゴス

Rotten Tomatoes  88%,60%    IMDb  5.8

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ロサンゼルスの画家デジーは最大のスランプに陥り、「ブリス」というドラッグに手を出してしまう。それはめくるめく悪夢的体験の始まりだった。

"シンクロニック"に続いてまたもやドラッグホラーです。詳しいことはまだ分かりませんが、エロス&バイオレンスがすごいらしいですよ。強烈な色彩のポスターが印象的で、"カラー・アウト・オブ・スペース -遭遇-"を思い出します("BLISS"の方が赤黒いけど)。やっぱりマゼンタは狂気の色ですね! 美しい。

 

1. "ファブリック(In Fabric)"(2018)

監督:ピーター・ストリックランド

Rotten Tomatoes  92%,68%    IMDb  6.2

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ウィンターセール中のデパートでシーラは真っ赤なドレスを購入するが、それは呪われた「殺しのドレス」であった。

A24配給。今年観た予告編の中で最も底知れぬセンスを感じた一作。安っぽく古臭いようで新鮮な独特の空気感です。ブライアン・デ・パルマの"殺しのドレス"という映画がありました。原題は"Dressed to Kill"で普通は悩殺ファッションであることを意味しますが、あの映画では文字通り殺しの装いを意味していました。なので邦題はちょっと意訳が入ってたんですが、この"ファブリック"こそガチ「殺しのドレス」物語らしいですよ。監督のピーター・ストリックランドの作品はほとんど日本に入ってきておらず、ソフトが出てるのは長編2作目の"バーバリアン怪奇映画特殊音響効果製作所"のみですが、それも音響技師がホラー映画を担当することになっておかしくなっていくというストーリーの怪作でした。3作目の"バーガンディー公爵(The Duke of Burgundy)"は第25回レインボー・リール東京でかかったっきり、ソフト化の音沙汰なし。4作目となる本作は"もう終わりにしよう。"を超える怪作となるか。ぜひ確認しましょう。

 

 

以上11本がHeiroの期待作でした。本イベントでは他に30本近くも公開されますから、きっとあなたにぶっ刺さる作品が見つかるでしょう。この期待を胸に、年末を乗り切れ!!