"ポゼッサー(Possessor)"(2020)
あなたの身体はあなたのものではない
公式トレイラー
POSSESSOR UNCUT Trailer - In Theaters & Select Drive Ins October 2
レッド・バンド・ティーザー(いわゆる大人向けティーザー予告。グロ強め)
Possessorとは所有者のこと。何の?
監督はこれが長編2作目となるブランドン・クローネンバーグ。ん? クローネンバーグ?
そう、彼はカナダ産ホラーの帝王デヴィッド・クローネンバーグの息子なのですよ!!
デヴィッド・クローネンバーグと言えば、テクノロジーによって人間の肉体が変異していくのを実に生々しく気色悪く描写するボディ・ホラーの名手として有名ですね。
"ビデオドローム"では暴力的な映像が、"ザ・フライ"ではテレポートマシンが、"クラッシュ"では自動車が、"イグジステンズ"ではヴァーチャルリアリティゲームが人間を不可逆的に変えてしまいます。キモい方向にね。"ザ・フライ"の蝿人間は有名ですよね。
そんなアレな作品ばかり撮ってる人を父親に持った息子はどう育ってしまったのか?
……ブランドン・クローネンバーグの長編1作目"アンチヴァイラル"は、セレブのかかった病気のウィルスや、セレブの細胞を培養した食用肉が売買される世界を描いたSFスリラーです。
もう一度言いますよ。エラいキモい珍作です。
DNA鑑定するまでもなくクローネンバーグ印が魂レベルで刻まれているのが手に取るように分かります。
しかも、父デヴィッドが近作3本("危険なメソッド"、"コズモポリス"、"マップ・トゥ・ザ・スターズ")で起用しているミューズのサラ・ガドンも“アンチヴァイラル“に出てるんですよ!
はしたない!!
前置きが長くなりました。さて今回の"Possessor"。
主演は今月末にやっと日本公開が決まったハリウッドリブート版こと"ザ・グラッジ"主演のアンドレア・ライズボロー。その他、"イット・カムズ・アット・ナイト"などのクリストファー・アボット、"ゲーム・オブ・スローンズ"などのショーン・ビーン、"ヘイトフル・エイト"などのジェニファー・ジェイソン・リーなど。
ターシャさん(アンドレア・ライズボロー)は他人の脳にアクセスできる特別な機械を使って無関係の他人を操り、自社のビジネスに不都合な人間を殺す暗殺業務を請け負っている。グロッキーになりつつも業務をこなしていた彼女に、大企業のCEOジョン・パース(ショーン・ビーン)を殺せという新たな指令が下された。次なるブレインジャックの標的はコリン(クリストファー・アボット)という男性に決定し、まんまとパースに近づき後は引き金を引くだけ――という所でコリンの制御が利かなくなり、暗殺に失敗。自分を操ろうとする者の存在に気付いたコリンは、逆にターシャを追い詰めてゆく……。
かなりビジュアル的にインパクトのある予告ですね。
トレイラーのタイトルにも"Possessor UNCUT"とあり、冒頭で「オリジナル版から修正されていません」と文言が出ます。クローネンバーグだけあって、やはりえげつない残酷描写が売りなんでしょうか。
今回はあまりボディ・ホラーという感じはしませんが、やはりテクノロジーが人間に及ぼす影響を描いていますね。実際にアカウント乗っ取り事件なんかがありますが、そのメタファーだったりするのかな。
タイトルロゴは黄色の背景に黒字で実にスタイリッシュ。警戒色ですね。Eを中心点に見立てるとほぼ左右対称となり、POSS≡ƧƧORと鏡文字的に表記されてるのもセンス良いですね。今度やるドゥニ・ヴィルヌーヴ版"DUNE"も⊃∪∩∈みたいなロゴになっており、シンプルながら上手くてすごいカッコ良いです。
アンドレア・ライズボローを初めて見たのは、おそらく"オブリビオン"を劇場で見たときですね。その時はオルガ・キュリレンコの方しか認識していませんでしたが、今となってはアンドレア・ライズボローの方が売れっ子のようです。この人はかなり色んなジャンルの個性的な作品に出てまして、出演作を追いかけるだけでも面白いです。最近だと"バードマン(コメディ)"、"バトル・オブ・ザ・セクシーズ(伝記)"、"ナンシー"(ドラマ)、"マンディ"(……ホラー?)、あと先述した"ザ・グラッジ"(ホラー)。この"Possessor"はSFスリラーなので、最近はホラー系での活躍が目立ちますね。オブリビオンの頃は普通に美人だと思ったんですが、最近は今回のように怖い顔で出てくることも多いです。カメレオンですね。
クリストファー・アボットは最近だと"ピアッシング"でミア・ワシコウスカと共演してて、顔はかわいいのに殺人衝動を秘めた変態男を好演してました。精神的に不安定な役が似合います。そうそう、"ピアッシング"の監督ニコラス・ペッシェが"ザ・グラッジ"も監督しています。これまでの監督作は評価されているのに、"ザ・グラッジ"は酷評されています。この話もいずれ。
ショーン・ビーンは出てくると絶対〇ぬので有名ですね。おそらく今回も死〇でしょう。笑
ジェニファー・ジェイソン・リーは予告だけではよく分かりませんが、謎のブレインジャックマシン担当の科学者役とかかな。この人は"イグジステンズ"に出てるので、また親子で同じ人起用してるよ!!
皆さん気になるサラ・ガドンは出てないよ! 残念!
クローネンバーグ印だし"アンチヴァイラル"も日本上陸したんで、これも時間の問題かと思っていたら、なんと東京国際映画祭で"ポゼッサー"のタイトルでかけられることに! エラい!!!
この機会に映画祭デビューするのもありかなあ。
Rotten Tomatoes 92%,46%
IMDb 6.3
批評家受けが良い様子。
(2021/12/20追記)
来年3/4からの劇場公開が決まりました。東京国際映画祭での上映から1年半くらいかかりましたね。遅かった…。まあその時1回観てるんですがレビュー書くのサボってたので、この機会にリベンジするか…。