"Bloodthirsty"(2020)
素晴らしくルナティックな映画でありますように。
公式トレイラー
先日紹介した"Bleed with Me"のAmelia Moses(アメリア・モーゼス)監督最新作。人狼映画は数多くあれど、大抵は狼男についてのもの。ところが本作は狼女が主人公らしいのですな。
あらすじのようなもの
歌手のグレイは、自分が狼になってしまう妄想に悩まされている。ある日、悪名高い音楽プロデューサーのヴォーン・ダニエルズと仕事をするチャンスが訪れる。森の中にあるダニエルズのスタジオに呼ばれ、グレイは自らの本当の姿を知る。
スタッフ・キャスト
監督は、本作が"Bleed with Me"に続いて2作目となるAmelia Moses。
グレイ役には"Bleed with Me"のローレン・ビーティ。何と"スキャナーズ"のマイケル・アイアンサイド御大も出演してるらしい。他。
Amelia Mosesはホラーなんか作らなさそうな、おっとり系の見た目をした女性なんですが、前作の"Bleed with Me"も今作も血ドバ描写が期待できそうで良いですね! だってどっちも血に関する語がタイトルについてるし。カナダ映画だし、同じカナダのデヴィッド・クローネンバーグに影響を受けたようなエグいボディホラーになってるのかどうかも気になるところ。Rotten Tomatoesのレビュアーはまだまだ少ないですが、スコア自体はかなり高いので期待しています。ホラー界の新鋭と呼ばれる日も近いかも。
狼女ホラーって観たことあったかなと思ったら、ほぼ内容覚えてませんけど前に"獣は月夜に夢を見る"っていう北欧映画を観ましたね。観てないやつだと、結構前の作品ですが"ジンジャー・スナップス"もそうなのかな? 観ようと思いながら忘れてた最近のやつでは"ワイルドリング 覚醒する少女"ってのもありましたね。親しみやすい顔のベル・パウリー主演の。人狼ものじゃないですが、主人公の内面のメタファーとして狼を使ってるような映画で"WILD わたしの中の獣"という作品もありました。
人間が獣と化すみたいなストーリーの映画は、性的な欲望がテーマであることがよくあります。女性が主人公の作品でいうと、クラシック映画の"キャット・ピープル"とか、最近のだと"RAW 少女のめざめ"とか。トレイラーの中にディナーの肉が不快な音とともに切られ、グレイがそれを見つめる描写がありますが、"RAW"のベジタリアン少女ジュスティーヌを思わせます。肉から滴る血を飲むシーンもあるし。グレイには同性の恋人がいるようですが、ダニエルズから狙われているようにも見えます。その方面で、ちょっと怪しい展開になっていくんですかね。でも、ダニエルズは過去に殺人の疑いをかけられた人物のようだし、もっとストレートなホラーなのかも? "キャット・ピープル"はニューロティックホラーにも、ボディホラーにもとれますが(といっても直接のボディホラー的描写はない)、本作はどっちだ! 人狼が満月によって変身するというのは、伝承というよりフィクションの中で描かれている場合が多いようですが、「イカレてる」という意味の単語「lunatic」は、昔月が人を狂わせると考えられていたためにできた言葉です。そういう意味でも、人狼ものは二重のスリルを秘めているのです。
「Should have horror fans salivating(ホラーファン垂涎の一作)」、「A near-perfect concoction(完璧に近い調合)」、「Unlike any werewolf horror film you've ever seen(あなたがこれまでに観たどの人狼ホラーにも似ていない)」、「Gory, provocative, and twisted(血みどろで、挑発的、そして捻りが効いている)」などの賛辞が並ぶ本作。これもいつか上陸してほしいけど、日本で紹介してる人も全然いないしなあ。
Rotten Tomatoes 100%,N/A
IMDb 6.8
誰か本作に(月)光を当ててやってくれい。