Heiroのシネマ・ミュージックフロンティア

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"The Feast"(2021)

饗宴は人生の終焉。

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公式トレイラー

 

モンスター映画の"フィースト"とは違いますよ。"セイント・モード/狂信"ではウェールズ語がちろっと登場しましたが、今回は(多分)全編ウェールズ語。響きが全然英語と似てませんね。"シー・フィーバー 深海の怪物"みたいにアイルランドが舞台の映画とか、"ワイルド・ローズ"みたいにスコットランドが舞台の映画はまあまあ見かけますが、ウェールズが舞台ってのは珍しくない?

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あらすじのようなもの

ある夜、裕福な家族がウェールズの山荘に集まった。家族は、近くの炭鉱に興味を持っているビジネスマンと近所の農家を招待する。宴の夜、ミステリアスな妙齢の女性がウェイトレスとして山荘を訪れる。静かながらも不穏な存在感を漂わせるその女性は家族の信念や価値観を揺るがし、やがて"最後の晩餐"に至る……。

 

スタッフ・キャスト

監督はこれが長編デビュー作となるLee Haven Jones(リー・ヘイヴン・ジョーンズ?)。

謎の女性カディを演じるのは"The Toll"(未公開)のアネス・エルウィ。"僕が星になる前に"のニア・ロバーツ、"赤い闇 スターリンの冷たい大地で"のジュリアン・ルイス・ジョーンズなどが出演。他。

 

賛辞

「Prepare to be awestruck(畏敬の念に打たれる覚悟をせよ)」 -Dread Central

「Nerve-shredding... A future folk horror classic(はらはらさせる…将来のフォークホラーの古典)」 -Syfy Wire

「Every grimly inventive scene will haunt you(全ての冷酷で独創的なシーンがあなたの脳裏に焼き付く)」 -What to Watch

「A flawless contemporary horror fairytale(完璧な現代の怪奇おとぎ話)」 -Nightmarish Conjurings

「Grotesque... Horror that takes no prisoners(グロテスクで…情け容赦ないホラー)」 -Variety

「Unnerving(不穏)」 -IGN Movies

「Disturbing(心をかき乱す)」 -Bloody Disgusting

 

 

このアネス・エルウィって女優さん初めて見ましたが、何かバリー・コーガン感ありますね。あっちはアイルランドの人ですが、何考えてるか分からない、でも何か良くないことしでかしそう、みたいな雰囲気が共通してます。心なしか顔も似てるような。たまにこういう「謎の訪問者が災厄を運んでくる」系映画出てきますよね。観たことないけど、古いやつだとピエル・パオロ・パゾリーニ"テオレマ"とかもそうだよね。っていうか、バリー・コーガンが出てる"聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア"もそうじゃなかったか! あれはギリシャ人のヨルゴス・ランティモスが(意識的にではないようだけど)ギリシャ悲劇のイピゲネイアの話をやってるような映画でしたが。今回のヤバい奴はゲストの方じゃなくて雇われたウェイトレスってのがミソでしょうか。フォークホラーとか言われてるから、おそらくサイコとかじゃなくて、もっとオカルティックな話なのかな。

 

タイトルが"The Feast"(宴、ご馳走)なだけあって、料理が色々出てきます。それがいちいち嫌な感じなんですよねぇ……。食べる音が強調されてたり、途中でカディに嫌味を言うゲストのひとりが料理を食べてエラいことになってるっぽいとこの声が生理的にムリ(褒)! "プラットフォーム"も食べることへの嫌悪感を全面に押し出してて非常にキモくて良かったよね(笑)! っていうか、"聖なる鹿殺し"のスパゲッティシーンもそうじゃん!! 

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非常に端正だけど嫌悪感をもたらす映像と音。カディがグラスの縁を撫でてるシーンはフレッシュですね。映画では観たことないかも。何でそんなことしてるのかは分かりませんけど。その後トマトか何かをバシバシ叩いて汁を出してるシーンがありますが、これねぇ、こんなに暴力的な映像あります? フレッシュかつドギツい。つまり最高。ドリルみたいなものが泥を飛び散らせながら回ってるシーンも良いですね。汚い(笑)。監督は本当に良いセンスをしてると思います。カディが料理に嘔吐してるシーンまであります(笑)。おい! 何だよこの映画!! 

 

アメリカでの配給はIFC Filmsというところが手掛けていて、その中のホラー部門がIFC Midnightって名前なんですが、そこのラインナップがかなり良さげなんですよね。"レリック -遺物-"なんかの配給もやってるね(劇場で観たけどまだレビュー書いてない(笑))。今後の紹介作品はそこのを参考にしても良いかもなー。IFC Filmsはポール・ヴァーホーヴェン御大の新作"Benedetta"の米国配給も担当してますからね。流れ来てますよこれは。いやあ"Benedetta"超面白そうだなぁ。


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とにかく、アネス・エルウィですよ。前にドラマ版"若草物語"に出たっぽい。アネスは主人公四姉妹の三女ベスを演じてますが、共演したメンツがすごくて、次女のジョーはマヤ・ホーク、四女のエイミーがキャスリン・ニュートンなんですよね。アネスもこの"The Feast"で流れ来てほしいなー。まず名前が良いよね。アネス・エルウィ。"The Unholy"クリケット・ブラウンや、"Censor"のニーヴ・アルガーと同じく、激しく女優推ししときます。そばかすの残る幸薄そうな顔が非常に雰囲気にマッチ。そして最後の血に濡れた顔の美しいこと! 妖気と妙な色気さえ感じます。

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Rotten Tomatoes  86%,N/A

IMDb  6.2

本作のような不気味な訪問者ならぜひ日本に来てほしい。