Heiroのシネマ・ミュージックフロンティア

Heiroによる、辺境の映画・音楽を紹介・レビューするブログです。(映画レビューの際はのっけからしこたまネタバレします。映画は★、音楽は☆で評価) ツイッターアカウントはこちら→https://twitter.com/chloe_heiro0226

"The Blazing World"(2021)

新たな女帝の誕生か。

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公式トレイラー


www.youtube.com

 

久しぶりの未公開映画紹介ですね。また面白そうな作品が出てきましたよ。サンダンス映画祭上映作品ってのが良い。サンダンスって聞くと何かテンション上がらない(笑)?

 

 

あらすじのようなもの

マーガレットの幼少期、双子の姉(or 妹)エリザベスが溺死した。それから10年以上経ち、すっかり自己破壊的な人間になってしまったマーガレットが実家に戻ると、エリザベスが生きているかもしれない別次元空間に引きずり込まれ……。

 

スタッフ・キャスト

監督・主演を務めるのは、これが長編デビューとなる31歳の女優、カールソン・ヤング。

"サスペリア"ウド・キア"アバウト・シュミット"ダーモット・マローニー"310分、決断のとき"ヴィネッサ・ショウ"博士と私の危険な関係"のソコなどが脇を固める。他。

 

賛辞

「Bursting at the seams...(with color, oddness, and attitude, a bold proclamation that) Young has arrived as a filmmaker to watch.(色、奇妙さ、心構えではち切れんばかりであり、ヤングが注目すべき映画作家として現れたことの大胆な宣言)」 -Rogerebert.com

「A truly inspired work of art(実に神がかった芸術作品)」 -Killer Horror Critic

「... Young and her team offer something truly impressive.(ヤングとそのチームは実に印象的なものを提供している)」 -Indiewire

 

 

これは何とも。ダークな"不思議の国のアリス"なんだか、何なんだか。雰囲気としてはマデリーン・ブルーワーの"Braid"っぽさもありますかね。ファンシーなダークファンタジーっぽいとこが。つまりは超面白そうってことですが。こういう映画嫌いな人いるん(笑)?

heiro-chloe.hatenablog.com

 

カールソン・ヤングって変わった名前ですね。男の名前みたい。ドラマ版"スクリーム"とかに出てた人みたいですが、何でこの人が映画を撮れたのかはちょっと分からず。一応、本作はカールソンが監督・主演した2018年の同題の短編の長編映画化作品のようです。原作はマーガレット・キャヴェンディッシュという人の"光り輝く世界(The Blazing World)"という作品(原作といってもゆるーくベースにしてるだけみたい)。だから主人公の名前もマーガレットなんですかね。これ1666年の作品らしいですよ(笑)。すごいな!! 何故そんなところから引っ張ってきてるのかといえば、大学でクリエイティヴ・ライティング(文芸創作)のクラスをとってたみたいなので、それ繋がりなのかな。何にせよ、blazing(燃え盛る)なんて単語がタイトルに入ってる映画は珍しいですよ。これまでにないようなタイトルであるだけでも好感持ちます。ちなみに、カールソンのフルネームはカールソン・エリザベス・ヤング。昔死んだ双子の片割れの名もエリザベス……。トレイラー観ると、ケレン味たっぷりのショットが散見されます。ものすごい顔面クロースアップとかね。ダーモット・マローニーが「Heyyyy!」っていうシーンとか、リアルにはおかしいけど、こういうのがあると「ああ今映画観てるなぁ」と実感します。

 

しっかし、ザ・ダークファンタジーな描写は良いとして、いきなりカールソンが砂漠を歩いてる妙に壮大なシーンが出てきますね。アドベンチャー映画じゃん(笑)。しかもそれが遠くから撮った映像なのでリアルに見えるし、このよく分からない感じが実にイイ。そこで出てくる仮面の女王様も何なのか。最早何が何だか(笑)。"ザ・フォール/落下の王国"的な? カールソンはターセム・シンが好きなのか? と思ったら、ここのインタビューでターセム・シンのことが語られてました。やっぱな! "不思議の国のアリス"のことも。ジャーロのファンでもあるらしいですよ。信用できる!!

screen-queens.com

 

途中、ドアが開いて大量の水が溢れ出てくるシーンがありますが、"シャイニング"オマージュですかね。双子の話でもあるし。っていうか、ウド・キア出しちゃうともうヘンな映画になっちゃうよね(笑)!

 

非常にヴィジュアル的に印象に残るシーンが多いですね。まあ、レビューでも映像面は褒められてストーリーは薄いとか言われてもいるようですが、映画作家たるもの、まずは映像がすごくないとね。マーガレット・キャヴェンディッシュの原作では、女性キャラクターが理想の世界について語り合ったりするみたいで、17世紀の作品なのにかなり攻めた内容になってるっぽい。SFで、ジェンダーの話もされたりしてね。もうちょっと後に生まれてたらサフラジェットとかになってたかもね。原作ではヒロインが「光り輝く世界」の女帝になるそうですが、カールソンもそういう存在になれるか! 見ものですね。もう次回作"Femina Nox"(ラテン語で「夜(闇)の女」の意味かな? またしてもタイトルが良い!)に取り掛かってるらしいですよ。まあ本作が日本上陸する可能性は限りなく低そうですが、のんびり待ちましょう。

 

 

Rotten Tomatoes  57%,N/A

IMDb  4.7

まだ"Braid"入ってこないね……。