Heiroのシネマ・ミュージックフロンティア

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"名探偵コナン 瞳の中の暗殺者"(2000) Review!

自分のアイデンティティーを取り戻せ。

 

公式トレイラー


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「瞳の中のアサシン」ではありません。「瞳の中のあんさつしゃ」です。そのまま。これは蘭が記憶喪失になるという、ちょっとテレビシリーズではできなそうなストーリーになってます。と言っても、テレビシリーズには新一が記憶喪失になる回があるんですが……もちろん隠された真相はありますけどね。子どもの頃観た印象だと、個人的には世間で地味と言われているらしい"14番目の標的"よりも地味な印象でした。Heiroは"14番目の標的"は地味だと思ってませんけどね。今回観直して、前半は確かに地味というか、かなりシリアスなのに対し、後半はアクション強めになってるのに気づきました。本作についてはあんまり記憶がなくて……。しかし、これも傑作でしたね! 初期コナンにハズレなし!! 蘭好きは号泣案件やで……。

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あらすじ

ある日、刑事ばかりを狙った殺人事件が発生する。白鳥警部の妹の結婚お祝いパーティに招かれたコナン一行は、事件について白鳥警部に尋ねるも「Need not to know(知る必要のないこと)」と一蹴されてしまう。会場のホテルのトイレで蘭は佐藤刑事に会うが、同時に停電。蘭は何者かが置いていた懐中電灯を不用意に手に取ってしまい、その明かりを利用して犯人が佐藤刑事に発砲する。電気が復旧し、重症の佐藤刑事を見て蘭は気絶。搬送先の病院で蘭の意識は戻るも、自分のせいで佐藤刑事が襲われたことに強いショックを受け、記憶喪失になっていた……。

 
 

 

スタッフ・キャスト

監督は"コナン"を初期から作り続けてきたこだま兼嗣

コナン役は高山みなみ、小五郎役は神谷明、蘭役は山崎和佳奈のお馴染みのキャストが務めた。

 
 
 

本作は、新一と蘭が遊園地トロピカルランドで遊んでいる場面から始まります。これは記念すべき最初のエピソードである「ジェットコースター殺人事件」が起こった日でもあるようです。この後、新一は蘭と別れ、コナンにされてしまうと。時間になると水が上がる噴水でイチャイチャしてますが、これをカップルと言わずに何と言うのか。アベック(笑)?

 

白鳥警部は妹がいたんですね。全く覚えてませんでした。似てないし(笑)。佐藤刑事も今と違うキャラデザでした(いわゆる「整形前」(笑))。白鳥警部がおっちゃんに心療科にかかるのを勧めるのがギャグになってますが、実際その辺りについてよく考えると全く笑える話じゃありません。米花町は大体毎日殺人事件が起こってる凶悪な犯罪都市ですからね(笑)。死体を見る頻度もそうですが、おっちゃんはいつも寝てる間に事件が解決してるので、自分の行動に見合わない評判が立っていることをどう思ってるのかが気になります。よくコナンがフライングして、おっちゃんが寝る前から蝶ネクタイ型変声機で声出してるし、おっちゃんが知らないうちにコナンが「おっちゃんが〇〇って言ってた」と触れ回るので、自分と周囲の人間の認識がずれていることがよくあります。どう考えても二重人格か何かです。まあ当の本人はガッハッハで済ませますが(笑)。

 

本作にも爆弾が出てきますが、ホテルを停電させるだけです。佐藤刑事が撃たれて蘭が落とした懐中電灯が回転し、一瞬だけ犯人と蘭の顔を照らすカットは本当に美しいです。弾が当たって蛇口から噴き出す水も。本作のもう一方の主役は水ですね。停電が回復し佐藤刑事の血にまみれた蘭の手のワナワナとした震え方が、本作のシリアスさを強調してます。

 

いつもハツラツとした蘭だけに、記憶を失ってから大人しく敬語で喋る姿を見ていると辛くなります。園子が「例え記憶が戻らなくても、私は一生友だちだからね……」と泣きますが、ここでもうウルウル。園子良い子ですよ本当に……。こんなシリアスなことが起こった後に、英理さんの死ぬほどマズいご飯を食べるかどうかなんて下らないギャグを入れてくるのはすごいですね(笑)。と思ったら、蘭が犯人にホームから突き落とされるもコナンが間一髪助ける、なんて緊迫したシーンもあります。まさに感情がジェットコースター。おっちゃんが蘭に「俺も事件を解いた時の記憶がよくなくなるんだが……」とか言うギャグがあったらどうなるだろうと思いましたが、不謹慎すぎますね(笑)。

 

後半は舞台がトロピカルランドに移ります。これまでテレビシリーズでもちょいちょいトロピカルランドは登場してましたが、全景が拝めるのは初めて。これはディズニーランド超えてるんじゃ……(笑)。超行ってみたい。かなりスタッフ気合入ってますね。蘭がおっちゃんに「お父さん」と呼びかけようとして躊躇するシーンで、「良いんだよ。全てを思い出した時にそう呼んでくれ」と話すおっちゃん。カッコ良すぎるだろ!! おっちゃんファンには非常にたまらんシーンですが、本作のおっちゃんのピークはここです(笑)。

 

追ってきた犯人の銃から蘭を庇い、肩を撃たれる阿笠博士"14番目の標的"ではお尻をボウガンで撃たれてましたね。かわいそう。ここですぐ博士を庇おうとする灰原の姿が見れます。テレビシリーズの方で、灰原はコナンに向かって「組織に正体がバレたらまず博士を助ける」と言ってますからね。何だかんだ言って灰原は博士が好きなのです。携帯の待ち受けは博士の寝顔だし(笑)。博士のこぼしたトマトジュースを血だと勘違いした時も絶叫してましたしね。良い関係じゃないですか。友蔵とまる子のような……(笑)。

 

本作ではターボエンジン付きスケボーが大活躍しますね。トロピカルランドのアトラクションをスケボーで駆け抜けます。作画は素晴らしいんですが、コナンの運動神経は完全に人間の域超えてます。ボートの操縦も神業ですが、これは射撃と同じく「ハワイで親父に」習ったようです(笑)。

 

犯人は前3作と比べると分かりやすいヒントがありません。「Need not to know」という言葉で警察内部に犯人があることを示唆していましたが、これは結局ミスリードでしたね。心療科の風戸医師が犯人なのは結構以外でした。元は外科医だったのに、黄金の左腕を奪われたことへの復讐を行っていたのです。刑事たちを殺したのは、その復讐の事件を再捜査されていたため。風戸医師は手術の腕が落ちた後は、そのまま外科医を続けることはプライドが許さず心療科に転向。この仕事に対する姿勢は、やはり前3作の犯人に共通するものがありますね。ちなみに、本作まで白鳥警部を演じた塩沢兼人はこの後亡くなってしまったので、風戸医師を演じた井上和彦が役を引き継ぎます。

殺された刑事が警察手帳を忍ばせている胸を押さえて死んでいたことから、警察は内部の犯行であることを疑っていましたが、胸を押さえたのは心療科の「心」を指し示していたと判明。ここ、ついていけない人もいるかもしれませんが、個人的にはすごく気に入りました。カッコ良いじゃん! 心が胸の辺りにあるというのは観念的な話で、何となくそう思ってる人は多いでしょうが、論理的に考えてと言えば脳にあると答える人が多いと思います。心は記憶(というか経験)にも大きく影響を受けますから、劇的ではないにせよ記憶を失った蘭は元と性格が少し違います。また、人間には人それぞれ持って生まれた気質というのがありますので、心のあり様は皆違います。記憶についてはまず脳にあると答える人が大半でしょうけどね。面白い。"BLEACH"の中では志波海燕というキャラが自分と相手の間の空間を指して「人と人が触れ合う時ここに心が生まれる」と話しますが、Heiroはその解釈も大好きです。

 

風戸医師から逃げる途中、コナンは蘭に「どうしてキミはこんなに私のことを守ってくれるの?」と聞かれ、「オメーのことが好きだからだよ。世界中の誰よりも」と答えます。これはおっちゃんが英理さんにしたプロポーズの文句と偶然一緒だったのですが、もうおっちゃんとコナン親子じゃないんかって!! "14番目の標的"でもコナンはおっちゃんが英理さんにしたのと同じ方法で蘭を助けますしね。似た者同士めが。こないだテレビシリーズのロンドン編観て、新一が告白したのにテンション上がりましたが、本作ですでにやってましたね(笑)。関係ないですが、逃げる中でコナンが後ろ手に蘭を庇おうとする所、一度その手が蘭を見つけられず空振りするんですが、その描写が非常にリアル。

 

最終対決。コナンは以前蘭と訪れた噴水に風戸医師を誘い出します。ここの噴水の描写が綺麗ですね。噴水の間から伸びる風戸医師の腕が佐藤刑事を撃った時と同じ構図で、蘭の記憶が一瞬にして蘇る展開は鳥肌モノ。キック力増強シューズも活躍し、風戸医師のヒットポイントは半分に。キック力増強シューズで物を蹴った時は毎回一瞬絵が止まりますが、これが本当に良い演出でねえ。必殺技みたいで。しかしまだ動けた風戸医師はナイフでコナンを襲い、コナンのメガネが吹っ飛びます。これはすごいですよ。"世紀末の魔術師"では銃弾受けても吹っ飛びませんでしたからね(笑)! 覚醒した蘭は蹴りでナイフを両断し(笑)、風戸医師を再起不能に! 劇場版ではこれまで蘭の空手シーンはほとんどなく、ちゃんと人に向けて使ったのは初めてです。意図的なものではないかもしれませんが、蘭は記憶(心)を取り戻したのと同時に、メタ的に空手の達人というアイデンティティーも取り戻しました。劇場版を連続で観た人には謎の感慨があり、非常にスッキリするエンディングです。ここでストーリーがいつものコナンらの領域に戻ってきます。これまでのシリアスさから一転、ナイフをスパッと切り落としますからね(笑)。ふー。佐藤刑事も一命を取り留め、男刑事諸君が泣いて喜びます(笑)。しかし佐藤刑事は高木刑事とくっつくことが決まってるんだ……運命は残酷だなぁ。

 

真相にたどり着いたコナンに、容疑者の1人の父親の小田切警視長が正体を尋ねようとし、コナンは「Need not to know」と答える……。カンペキでしょこの終わり方!! まあ小学生に「それを知ったら命が危ないぜ」と言われて素直に引っ込む大人は普通いませんが……良いんだよ! 勢いがあるから!!

 

ちゃんとオチもついていて、コナンの告白については記憶を取り戻させるためにおっちゃんのプロポーズの言葉を言っただけと蘭に勘違いされます。ありゃりゃ。まあロンドン編で告白してもまだカップルになってませんからね。コナンくん、気を落とさないでよ。三度目の正直なんじゃないの(笑)?

 

 

★★★★★★★★☆  8.5/10点

Rotten Tomatoes  N/A,N/A

IMDb  7.6

コナンも早く新一としてのアイデンティティーを取り戻せ!