Heiroのシネマ・ミュージックフロンティア

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"エンド・オブ・ホワイトハウス(Olympus Has Fallen)"(2013) Review!

最強のスパルタ……もといアメリカの戦士……ならぬイギリスの執事が「カサブランカ」を守る!

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公式トレイラー


www.youtube.com

 

暗号みたいな見出しになっておりますが、意味は後述しております。ジェラルド・バトラー主演の"エンド・オブ~"シリーズの第1弾。でも続編は今のところは観なくても良いかなと思っております(笑)。

 

 

あらすじ

アッシャー大統領一家の警護を担当していたマイク・バニングは、不慮の事故で大統領夫人を死なせてしまったことに責任を感じ、一線を退いていた。一年半後、北朝鮮のテロリストによりホワイトハウスが襲撃される事件が起こる。それを知ったバニングは大統領の命を守るため、敵の懐に飛び込んでいく。

 

スタッフ・キャスト

監督は"イコライザー"アントワーン・フークア

主演は"オペラ座の怪人"ジェラルド・バトラー"ダークナイト"アーロン・エッカート"セブン"モーガン・フリーマンなどが脇を固める。他。

 

 

ご存じ、"ホワイトハウス・ダウン"というタイトルも内容も被り倒してる作品と同時期に公開されたもう一方の作品ですね。こういう面白い現象はたまに起きます。1998年には隕石の地球衝突を題材にしてるだけに"アルマゲドン""ディープ・インパクト"が衝突。もっと遡れば、1964年には"博士の異常な愛情""未知への飛行 -フェイル・セイフ-"がバッティングしてます。ちなみに"ホワイトハウス・ダウン"は未見なので本作との比較はできかねます。

 

主役はジェラルド・バトラー"300 <スリーハンドレッド>"の時と違いスパルタ人ではないですが、それでもちゃんといつも通りバトラーなんて名前に似合わず(スペルはBattler(=戦士)ではなくButler(=執事))、最強の主人公です。でも起こる事態は結構重くて、アクション映画ではありますがスカッとしたい時に観るべき作品ではないですね。なんか色調も暗い気がしたし。ちなみに「カサブランカ」とはスペイン語で「白い家」を意味します。つまりホワイトハウスです。あ、それと、ジェラルド・バトラーアメリカ人でもなくてイギリス人なんですが、そこは笑いどころなんですか(笑)? 本作はかなりアメリカが自らを意識した作品になっていますけど……。

この映画、コラテラル・ダメージ(民間人の巻き添え)が大きくて割とショッキングです。まあ、最初に北朝鮮のテロリストが乗った戦闘機がホワイトハウス上空まで接近してくるところは国防ガバガバすぎるのでそんなに真剣に見れなかったですが、そこから民間人に向けて無差別に機銃掃射。グロくはないですが、ちゃんと死ぬところを映します。空襲みたいですね。アメリカの戦闘機が撃墜されればちゃんと住宅地に落ちます。テロリストの機体は撃墜された時、"スパイダーマン: ホームカミング"にも出てきたワシントン記念塔にぶつかり民間人を巻き込みながら爆発、炎上。塔にぶつかるシーンは世界貿易センタービル倒壊の映像を思い出させます。テロリスト側はなりふり構わず、自爆してホワイトハウスを囲うフェンスに穴開けたりします。生身のシークレットサービスたちに向かっての機銃掃射シーンもあるし、ヘリもバンバン落とされるし、人質も容赦なく殺されます。悲壮。完全に雰囲気は戦争。

 

原題の"Olympus Has Fallen"は、劇中で「ホワイトハウスが占拠された」という意味で使われています。オリンポスってギリシャ神話の神々が住まう山ですよ。「絶対に落ちない」という意味で使ってるんでしょうが、大層なネーミングですね。バニングが途中救出する大統領の息子はコナーくんというんですが、コナーはコナーでもジョン・コナーだったら良かったのに……あ、でも子どものジョン・コナーにはシュワちゃんの助けがないとね。

 

シークレットサービスのくせにテロリスト側に寝返ったフォーブスの裏切りは、フォーブスが知らないはずの敵ボスの名前を口走ったところからバレるんですが、それあまりに三下キャラすぎやて! ミステリーとかでも、こういう失言から犯人とバレる展開は安っぽくなりがちですよね。実際安易だし間抜け。テロリストに最新兵器ハイドラを奪われても、陸軍参謀総長は特殊部隊を突っ込ませ、そのハイドラにまんまとほぼ壊滅させられます。自信を持って作った兵器だろうに、自分たちの戦力の方がさらにその上を行っていると信じ込んでるんでしょうか? アホー!! アメリカはアメリカでも、キャプテン・アメリカならハイドラを沈黙させたでしょうね。宿敵だし(笑)。本作と関係ないけど脱線ついでに話すと、原語では「Hail Hydra」は「ハイル・ハイドラ」、ハイ・ハイで韻を踏んでおり、日本語だと「ハイル・ヒドラ」、「ハイル・ヒトラー」に近い音になります。どちらにしても素晴らしいフレーズですね! 意味としてはもちろんサイテーですが(笑)。

本作のストーリーのリアリティについてはよく分かりませんが、せっかくシリアスにやってきたのにバカキャラの行動が(お約束とは言え)もったいないね。ラスト、バニングがテロリストの目当てであるアメリカ全土の核弾頭をコントロールするためのケルベロス・コードをギリギリ解除しても、カウントダウンが数秒進むのが一番の恐怖ポイントでした(笑)。後数秒遅ければ地球からアメリカは消えてましたね。敵ボスはマイク・バニングを5分足止めすることもできませんでした。残念(どっちの味方なんだ)。バニングの活躍はこれからも続きますが、最強だからHeiroが見守らなくても大丈夫でしょう(笑)。

 

ところで、次作が"エンド・オブ・キングダム(London Has Fallen)"で、その次が"エンド・オブ・ステイツ(Angel Has Fallen)"でしょ? 原題の元々の意味を考えれば、本作の"Olympus Has Fallen"が結局一番スケールデカかったね(笑)。

 

 

★★★★★★  6/10点

Rotten Tomatoes  49%,66%

IMDb  6.5

達者でな。マイク・バニング