Heiroのシネマ・ミュージックフロンティア

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"BUYBUST/バイバスト(BuyBust)"(2018) Review!

洗練されてない良さというのもある。

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公式トレイラー


www.youtube.com

 

"ハイ・フォン: ママは元ギャング"に続くアジアンアクション。……と言ってもマーシャルアーツでなくガンアクションがメインですが。今回はフィリピン映画です。

 

 

あらすじ

麻薬捜査官のニーナには、過去の作戦で多くの仲間を失った辛い経験があった。そして再び、マニラのスラム街を拠点に活動している麻薬組織を壊滅させるための作戦に身を投じるが、捜査官に紛れた組織のスパイにより計画は失敗、撤退を余儀なくされる。しかし地元住民の怒りが爆発し三つ巴の死闘になり、脱出は困難に。かくして、ニーナらにとって最も長い夜が始まった……。

 

スタッフ・キャスト

監督は"牢獄処刑人"のエリック・マッティ。

主演は"オーロラ 消えた難破船"のアン・カーティス。他。

 

 

やはりこれも"ザ・レイド"には敵わず。まああのクオリティを超えろというのも酷な話なんですが。「Buy and Bust」で「麻薬捜査官による隠密捜査」を意味するようですね。麻薬戦争ものというと"ボーダーライン"シリーズなどのようにドロドロしがち。ドロドロだけに本作は割と泥臭い感じのアクションで、話運びもスロー。観る前は爽快な作品かと期待していましたが、そういう方向性ではありませんでした。賛否は分かれるところでしょうが、だからこそ「この場にいたくない」感バツグン。

 

本作の舞台になるのはスラム街。そこを根城にしているギャングVS麻薬捜査官……VS地元住民というバトルロイヤルです(笑)。ただの一般人もギャングが怖いので普通に捜査官たちを殺しにかかるし、捜査官もしょうがなくとは言え結構住民を殺します。それがちょっと新鮮かな。スラム街だから通路は狭いし視界は悪いし、そこら辺の壁は銃弾通すし、雨が降ったら冠水するしその上剥き出しの電線まで何でもござれ。それらを長いワンカットで見せていきます。これが地獄じゃなくて何なのか! でも全体がネオンで照らされてるのでちょっと"ブレードランナー"っぽいと言うか(雨も降ってるし)、サイバーパンク感も。もちろん未来的な要素はないけど。敵も味方も容赦なく死んでいきます。

 

それでもギャグはあるにはあって、初めに捕まえた組織の一味のテバンが可愛い。何度も死地を潜り抜けるし、捜査官チームに潜入している組織のスパイに文句を言ったりします(笑)。エンドロールでの麻薬批判ソングも爆笑ものです。こういうシリアス一辺倒でない点は"ハイ・フォン"もそうでしたね。

 

アン・カーティスは中々精悍な顔をした美人で、めちゃめちゃ傷だらけになりながらアクションをこなしておりました。こういう映画もっと増えると良いね。捜査官の一人でヒットポイントおばけの大男を演じたブランドン・ヴェラは、フィリピンのドウェイン・ジョンソンと言っても過言でないような存在感でした。実際、俳優というより総合格闘家だそう。やはり。アン・カーティスのせっかくの顔をボコボコにされてまで生き残っても、こういうジャンルの常で苦ーいラストが待ってます。まー皆、子ども舌のHeiroと違ってコーヒー大好きでしょ。後味苦くても大丈夫でしょ。

 

 

★★★★★★☆

Rotten Tomatoes  83%,67%

IMDb  5.8

国が違っても自分たちと共通点があると嬉しいものだけど、それが麻薬というのもね。