Heiroのシネマ・ミュージックフロンティア

Heiroによる、辺境の映画・音楽を紹介・レビューするブログです。(映画レビューの際はのっけからしこたまネタバレします。映画は★、音楽は☆で評価) ツイッターアカウントはこちら→https://twitter.com/chloe_heiro0226

"パーム・スプリングス(Palm Springs)"(2020)

この穏やかな日常がいつまでも続きま…せんように。

 
公式トレイラー

 

イムループもの。何とも甘美で魅力的な響きですね。だからこそ似たような作品がたくさんあるし、その設定から一定の面白さを担保されている定番ジャンル。"ミッション: 8ミニッツ"とか"オール・ユー・ニード・イズ・キル"みたいにゲームっぽいSF映画に非常にマッチする設定です。でもちょっと考えてみれば、すごく現実に即したテーマでもあるのかも。

 
 
あらすじ
2019年11月9日、カリフォルニア州の砂漠リゾート、パーム・スプリングス。サラは妹の結婚式だというのに上の空のまま、見かけからは想像もできない完璧なスピーチをするナイルズに出逢う。その夜、2人は勢いでコトに及ぼうとするが、ナイルズは謎の老人に矢を射られてしまう。サラは大して動じないナイルズを不審に思いながら、怪しく光る洞窟へ入っていく彼を尾け、制止を聞かずに自分も入ってしまう。サラが目を覚ますと、日付は2019年11月9日、結婚式の朝に戻っていた。ナイルズを問いただすと、すでに何万回もこのループを経験している大先輩らしい。かくして、永遠に終わらない穏やかな日常が始まった。
 
スタッフ・キャスト
監督はこれが長編デビューのマックス・バーバコウ。
ナイルズ役は"俺たちポップスター"のアンディ・サムバーグ、サラ役は"ウルフ・オブ・ウォールストリート"のクリスティン・ミリオティ、謎の老人ロイは“セッション”J・K・シモンズが演じた。他。
 
 
面白かったですが、個人的に超絶お気に入りのタイムループ作品"ハッピー・デス・デイ"には叶わなかったかなと。ただ監督たちも意識してるのかしてないのか、同作との共通点もありました。例えばサラは妹の旦那(新郎だぞ!)と不倫してます。しかもその旦那役、"アンダー・ザ・シルバーレイク"でフクロウ女を怖がってた人じゃん……と思ってたんですが、後から調べると普通に違いました。似てない?(笑) "ハピデス"の主人公ツリーも不倫してましたね。で、本作のサラはタイムループから抜け出すために、無限の時間を利用して量子物理学をマスターします。ツリーも同じことしてました。しかしあんたら頭良すぎな。
 
よく、「女性の方が立ち直りが早くて、男性の方が遅い」と言われます。本作もそんな感じで、すでに死ぬほど(死ねないけど)ループしてるナイルズの方が現状を受け入れていて、新参者のサラの方が現状を打開しようとします。タイムループものは体でなく心の成長を描くジャンルなので、ナイルズは思考が堂々巡りで前進できない人を表しているようにも見えます。本作の永遠の一日が11月9日って、9月11日(ナインイレヴン)を意識してたりするんですかね。もしそうであれば、ある日の出来事に囚われて一歩前に進めなくなっている人々への応援歌でもあるような。
 
ナイルズは無数にループを繰り返しています(100万回とか言ってたような気も? クリスティン・ミリオティの方が100万回ループしてそうな名前だけど(笑))。そのせいで、人生に意味はないと達観しています。でも、有神論者ではないHeiroから言わせてもらうと、それって当たり前じゃないかと。初めから人生に意味があるとすれば、神さまに意味をあらかじめ決められていることを意味しますよね。神の存在を積極的に信じない場合、人生の意味は後から自分でつけるしかないとしか考えられません。それ以外に存在する理由としては子孫繁栄くらいでしょ。ナイルズとサラには生きる意味を考えるための時間が与えられたわけですね。
 
本作の後にAmazon Originalの"明日への地図を探して"というタイムループものを観たんですが、そっちの方が感銘を受けました。すまぬ"パーム・スプリングス"。その話はまた後日。
しかしクリスティン・ミリオティはアニメキャラをそのまま実写化したみたいに目がでかいなあ……。後、浮気しまくってるナイルズの彼女ミスティがけっこう笑わせてくれました。
 
 
★★★★★★★☆  7.5/10点
Rotten Tomatoes  95%,88%
IMDb  7.4
人間にしかできないことをやってる時点で、人間として生きてる意味はあるよ! だから皆映画観よう(笑)。