Heiroのシネマ・ミュージックフロンティア

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"ザ・リトル・ストレンジャー(The Little Stranger)"(2018) Review!

「憧れ」とは、「童の心」と書く

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公式トレイラー


THE LITTLE STRANGER - Official Trailer [HD] - In Theaters August 31

 

"アサシネーション・ネーション"に続き、これも中々乗れない映画でした。あばば。イギリスで館が出てくる映画って、何故か知らないけど苦手なんですよね。ロバート・アルトマン"ゴスフォード・パーク"観た時なんか、あまりの登場人物の多さも相まって死にかけました。色んな俳優を覚えた今なら違うかもだけど、何かあんまり興味が……。ホラーだしと思って鑑賞した本作でしたが、うん……。今回はショートショートなレビューになりそうだなぁ……。

 

 

あらすじ

1948年のイギリス。幼い頃から憧れていたエアーズ家の豪邸に、医師となって再び訪れたファラデー。過去の栄華も失われて久しいエアーズ家の長女、キャロラインに好意を寄せるファラデーは、一族の長男ロデリックの治療を口実に館に足しげく通うように。しかし、徐々に怪奇現象がエアーズ家を襲っていく……。

 

スタッフ・キャスト

監督は"ルーム"のレニー・エイブラハムソン。

ファラデー役には"エクス・マキナ"のドーナル・グリーソン、キャロライン役には"呪われし家に咲く一輪の花"のルース・ウィルソン。他にも、"ミッドサマー"のウィル・ポールター、"わたしを離さないで"シャーロット・ランプリングなど。

 

 

まず上記のように、この映画キャストがけっこう豪華。なんだけど、ものすごい地味!! ルース・ウィルソンは眉毛が印象的な女優だけど、その弟役としてウィル・ポールターを起用するとは! 絶対眉毛繋がりだよね!(笑)

ルース・ウィルソン演じるキャロラインは美人ではないという設定なんですが、どうですかね。ルース・ウィルソンはチャーミングだと思うけど。「オリヴィア・クック問題」の類義語に加えるべきでしょうか?(笑)

 

この映画何が地味って、前半(1時間くらい)ほぼ何も起こらないんですよ。ルース・ウィルソンが前に出てた"呪われし家に咲く一輪の花"もそんな映画じゃなかった?(笑) "ルーム"は気に入ったんだけどねえ……。最近"ダニエル"なんてサービス過多なホラー観たばっかなんで、あまりに薄味すぎてね……。ちゃんと塩振ったの?

 

細かいところよく分からなかったですが、エアーズ家の悲劇の元凶は主人公のファラデーだったようですね。曖昧に描かれてますけども。そもそも、ドーナル・グリーソンって信用できない感じがありますよね。"スター・ウォーズ/最後のジェダイ"のハックス将軍ですからねぇ……。

怪奇現象の原因について、「ヒステリーじゃないか」みたいな話も劇中ありましたけどね。ちなみに、性的なフラストレーションが溜まった女性に医者が「手動で」処置する(ぼかしてるよ)のが大変なので、バイブレーターが発明されたという事実ベースの映画"ヒステリア"は面白かったですよ。

 

キャロラインにしつこく結婚を迫るファラデー。一時は良い仲になりかけますが、最終的には、本当に執着していたのはキャロラインでなくエアーズ家の館であることが明らかになります。なので、これは"バリー・リンドン"みたいな話なんだとHeiroは解釈しています。ファラデーは幼い頃にこの館に憧れながら、庶民の自分と上流階級のエアーズ家の違いをまざまざと体に刻み込まれます。それは立派な医者になっても同じで、シャーロット・ランプリング演じるキャロラインの母からはやはり庶民扱いされます。エアーズ家はすでに没落しているのに! イギリスの階級社会について詳しくないですが、没落した貧乏貴族と裕福な庶民の間にも、越えられない壁があるんですかねえ。ファラデーは自身の論文が認められロンドンに行くチャンスも手にしますが、館のことしか頭にありません。身分違いの恋は実らないと言いますが、階級同士の隔たりというより、相手の身分自体への執着がそうさせるのでしょうか。一人の人間として見れなくなってね。悲しいね。

「The Little Stranger(小さなよそ者)」とは、ファラデーの心の中の、幼き日のファラデー少年? 上流階級への羨望でなくて、ただ単に建築物として館が好きな方がよっぽど幸せになれたろうよ。

 

"アサシネーション・ネーション"と同じく、人を選びます。濃い味好きのHeiroと違って、素材の味が分かる人には楽しめるかも。

全く関係ないけど、本作観て初めて「スーキー」がスーザンの愛称であることを知りました。"アサシネーション・ネーション"にもスーキー・ウォーターハウス出てたし。なんちゅうタイミングの良さ。それだけでも観た価値あるね。ありがとう。でもこれも今年のワースト候補だな(笑)。
 
 
★★★★  4/10点
Rotten Tomatoes  65%,35%
IMDb  5.5
このドーナル・グリーソン、アリシア・ヴィキャンデルにお仕置きしてもらおうぜ!