Heiroのシネマ・ミュージックフロンティア

Heiroによる、辺境の映画・音楽を紹介・レビューするブログです。(映画レビューの際はのっけからしこたまネタバレします。映画は★、音楽は☆で評価) ツイッターアカウントはこちら→https://twitter.com/chloe_heiro0226

"Braid"(2018)

禁じられた遊び、再び

(※微かに"透明人間""ロッジ -白い惨劇-"の展開に触れています)

 

公式トレイラー(レッドバンド・トレイラー貼りたかったけど、年齢制限付いててYouTube上でしか観れなくなってたので、グリーンバンド・トレイラーでごめんね(笑)!)


"Braid" - Official Theatrical Trailer (Green Band)

 

近年、女性監督によるハイクオリティのホラー・スリラー作品が多いですね! パッと思い出せるのは、ジェニファー・ケントの"ババドック 暗闇の魔物"(2014)アグニェシュカ・スモチンスカ"ゆれる人魚"(2015)、ジュリア・デュクルノー"RAW -少女のめざめ-"(2016)コラリー・ファルジャ"REVENGE リベンジ"(2017)、ダニシュカ・エスターハジー"レベル16 服従の少女たち"(2018)、ヴェロニカ・フランツ(とゼヴリン・フィアラの男女共同監督作)の"ロッジ -白い惨劇-"(2019)カーロ・ミラベラ=デイヴィス(ジェンダー・フルイドだけど)の"Swallow/スワロウ"(2019)あたりかな。

上記の作品たちは全部観てますが、未見のやつだとステイシー・パッソンの"ずっとお城で暮らしてる(We Have Always Lived in the Castle)"(2018)、ローズ・グラスの"Saint Maud"(2019)、ナタリー・エリカ・ジェームズの"Relic"(2020)などは評判が良いと聞いてます。"ずっとお城で暮らしてる"は、最近だとマイク・フラナガンNetflixドラマ"ザ・ホーンティング・オブ・ヒルハウス"の原作者としても知られているシャーリィ・ジャクスンの著作の映画化作品です。"死霊館"シリーズでお馴染みの、ヴェラ・ファーミガの歳の離れた妹タイッサ・ファーミガ(超性格良さそう)と、超目力の強いアレクサンドラ・ダダリオが出演しています。"Relic"認知症の祖母が引き起こすトラブルが、娘と孫娘を巻き込んでいくホラーのようですが、かなりの大絶賛です。これも近いうち紹介したいですね。"Saint Maud"に関しては、このブログで記念すべき最初の紹介記事になっているので、良ければそちらも見てください。

 

あらすじのようなもの

ドラッグディーラーとして生計を立てている若きアーティストのペトゥラとティルダ。取り引きに失敗して隠れ家を失い、多額の借金も負ったお尋ね者の2人は、裕福な幼馴染のダフネから金を奪い取ることを思いつく。しかしダフネは精神を病んでおり、3人が子どもの頃に想像したファンタジーの世界に住んでいた。金のために2人はダフネのごっこ遊びに付き合う羽目になるが、段々と悪夢のような展開になっていく。2人に課されたルールは3つ、「誰もが参加しなければならない」、「部外者の立ち入りは認めない」、「誰も去ってはならない」……。

 

スタッフ・キャスト

監督はこれが長編デビュー作となるMitzi Peirone(ミッチ・ペイロン? ミッツィ・ペイローネ?)。

狂気のお嬢様ダフネ役には"カムガール"のマデリーン・ブルーワー。ペトゥラ役には"ノクターナル・アニマルズ/夜の獣たち"のイモージェン・ウォーターハウス、ティルダ役には"The Mortuary Collection"(これもそのうち紹介したい!)のサラ・ヘイ。他。

 

これまた最高そうな映画じゃないですか!! トレイラーで、ティルダがルールを破ったからか、ペトゥラにハンマーで膝を砕かれますが、その時のダフネの顔!! ティルダの悲鳴に身を震わせますが、微かに笑っているようにも見えます。マデリーン・ブルーワーの演技がすごく良いですね! マデリーン・ブルーワーは"カムガール"(Netflixで観れるよ!)観て知った女優ですが、どことなくエリザベス・モス感あると思うんですよね。エリザベス・モスと言えば、"透明人間"で、"シャイニング"ジャック・ニコルソンを彷彿させる演技(主に眉)を披露してましたね。つまりサイコの顔にピッタリということ(誉めてる)。もちろん"透明人間"で本当にサイコだったのはエリザベス・モスではなかったですけど! ちなみにマデリーン・ブルーワーはエリザベス・モスと"ハンドメイズ・テイル/侍女の物語"で共演しているようです。

"カムガール"は、マデリーン・ブルーワー演じる主人公がアダルトサイトのカムガール(チャットレディみたいなやつ)になるんですが、自分そっくりの謎の女がアカウントを乗っ取ってさらに過激な放送をし始める、といった内容のサイコスリラーです。以前は旅行中のバスというあまり良くない鑑賞環境で観たので、またちゃんと観直したいなぁ。面白かったですよ。

 

他のどんな洋画でもそうですが、本作のトレイラーにも様々なレビューの賛辞が引用されています。こういうの、邦画のトレイラーにはないですよね、多分(普段邦画観ないから間違ってるかも)? 大好きなんですよねこれ。英語の勉強にもなるし、どうせなんでこれも記事内で紹介していくスタイルにしようかな。

「Ridiculously clever(バカバカしいほどクレバー)」、「Disorienting(方向感覚がなくなって混乱する)」、「Mind-bending(非常に奇妙)」、「Delightfully twisted(面白く捻ってある)」、「Stunning(極めて素晴らしい)」、「Tour de force(力作)」、「A lynchian head trip(デヴィッド・リンチ的刺激体験)」、「Daring and subversive(大胆で革命的)」などなど、そりゃもう期待するっきゃないぜな言葉たちが並んでおります。しかも、トレイラーに何度も登場する世にも奇妙な色、マゼンタ。マゼンタと言えばHeiroのフェイバリットカラーであり、我らがニコちゃんことニコラス・ケイジ"カラー・アウト・オブ・スペース -遭遇-"でお馴染みのサイケでサイコな色ですよ!! 良い。非常に良い。

 

そしてやはり目に付くのはそう、ドールハウス。完全に今のホラーって、アフター"ヘレディタリー/継承"ですね。"ヘレディタリー"がお披露目された時、「Instant classic(即古典認定の大傑作)」なんてレビューを目にした記憶がありますが、特にアートホラー作品に多大な影響を与えていますね! "ロッジ"だってまさにそうだったし、先日観たイマジナリーフレンド+サイコホラーの"ダニエル"(傑作!!)にもドールハウス出てたんですよ! しかも、「またドールハウスかよ、パクリじゃん」とはならず全部面白いんですよねぇ、これが。まぁ、上記作品たちは"ヘレディタリー"まんまの「セラピーとしてのドールハウス演出」をしてるわけでもないですからね。"ダニエル"はちょっと近いとこありましたが、ちゃんと違う味付けがされてましたし。っていうか"ダニエル"でもマゼンタみたいな色出てたな……。

"ロッジ"の方は、精神を病んだ者と同じ屋根の下で過ごすことで生じるトラブルをひたすらダウナーに描いてましたが、本作はアッパー系っぽいですね。カメラワークもケレン味ありそうだし。"ロッジ"は病んでるキャラに感情移入させる作りになってましたが、本作も病んでるダフネを騙そうとして逆にやられる話っぽいですから、弱者に寄り添った作品なのかもしれません。

あらすじを見る限り、"ヴィジット"+"ドント・ブリーズ"みたいな感じですよね。ダフネの家のルールが書いてあるキルト?は、"ヴィジット"の海外版ポスターのやつにすごく似ています。影響があるかは分かりませんけど。そういうのアメリカとかだとよく作るのかもしれないね。

 

他の映画と違うのは、どこか耽美的であるところ。男性キャラはあまり出て来なそうで、画面には綺麗な女性ばかり映っているので、何となくクリント・イーストウッドが出てた"白い肌の異常な夜"を思い出しました。最近ソフィア・コッポラ"The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ"としてリメイクされましたね。登場人物が白い服ばかり着てて、どことなくエロティックさが漂うところも共通してますね。女性監督だからか、下品な感じもしません。タイトルの「Braid(編んだ髪、おさげ)」が何を意味するかまだ分かりませんが、レッドバンド・トレイラーには編んだ髪で猿ぐつわをされているフレッシュで気味の悪いシーンが入ってますね。

 

何となく、待ってれば日本上陸するような気もしますが、ま、気長に待ちましょう。

 

 

Rotten Tomatoes  88%,60%

IMDb  5.3 

日本の配給会社には、日本でアリ・アスター以外のアートホラー流行らせてほしい。