Heiroのシネマ・ミュージックフロンティア

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"クワイエット・フレンド 見えない、ともだち(Z)"(2019) Review!

どれだけ友だちが少なくても、あんたとは友だちになれないよ

(※"複製された男"と"ドローン"のオチに触れています)

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公式トレイラー


“それ”はあの子には見えている/映画『クワイエット・フレンド 見えない、ともだち』予告編

 

なんか最近ハズレが多いんでやんす。悲しい。

「あなたの『解答力』が試される驚愕のハイコンセプト・スリラー」なんて宣伝されてるこの作品。最近の作品でこういう挑戦的な宣伝文句で思い出すものと言えば"複製された男"の「『脳力』が試される」というやつ。最近と言っても2013年なんですけど。2010年代なら最近なの! そんなことは置いといて、あの作品は結局寓話だったワケですが。じゃあこの"クワイエット・フレンド"は何なのか?

この作品、ジャンルとしてはイマジナリーフレンドのホラーですね。Heiroは詳しくないんですが、昔から細々と続いているジャンルです。オットー・プレミンジャーの"バニー・レークは行方不明"とかも一応そのジャンルに入るかな。イマジナリーフレンドとは、主に幼い子どもに見られる空想上の友だちのこと。Heiroは一人っ子でなく実在する遊び相手がいたので、そういうのがいた覚えがありません。忘れただけかもしれないけど。大人からすると本当に理解不能な現象です。非常にホラー向きの題材ですよね。

とりあえず、なぜこの内容で"クワイエット・プレイス"に便乗した邦題にした?

 

あらすじ

8歳のジョシュは、「ゼット」というイマジナリーフレンドを持つ少し変わった子どもだった。ジョシュは、「ゼットのせいだ」と言いつつ徐々に暴力的な行動に出始める。精神的に疲弊していく母親のベスにもゼットの姿が見え始め、ある日、ベスは幼き日の自分にもゼットという名のイマジナリーフレンドがいたことを思い出す……。

 

キャスト・スタッフ

監督は"ベイビー・キャッチャー"のブランドン・クリステンセン。

脚本には"デーモン・インサイド"のコリン・ミニハン。

ベス役にはドラマ"スーパーナチュラル"シリーズのキーガン・コナー・トレイシー。精神科医の役に"ON AIR 脳・内・感・染"(言葉によって感染が広がる異色のゾンビもの。オススメ!)のスティーヴン・マクハティ。他。

 

 

"ベイビー・キャッチャー"は2年前に観ましたが内容覚えてません。へへ。確か幼い子どもを持つ母親がテーマというのは今作と共通しています。そう言えば、こないだ観終わった"ザ・ホーンティング・オブ・ブライマナー"に"ベイビー・キャッチャー"主役のクリスティ・バークが出てましたね。キーガン・コナー・トレイシーは今作が初めましてでしたが、アマプラオリジナルの"ザ・ボーイズ"に出てたエリン・モリアーティに激似で面白かったです。では肝心の内容に。

 

息子のイマジナリーフレンドは、実は母親から受け継いだものだったという展開は意表を突かれて興味深かったんですけど、あんまりストーリーに乗り切れなかったですね。今作は、「アナベル人形問題」をやらかしてます。アナベル人形とは、ジェームズ・ワンの"死霊館"シリーズのスピンオフである"アナベル"シリーズに出てくるあの子です。どう見てもシャレにならない顔してるのに、"アナベル 死霊館の人形"では主人公たちが「可愛い」と言って欲しがります。そこが一番怖かった。今回のゼットも同じです。だって、ゼットの見た目がどう見てもかなりエグいモンスターなんですよ。いくらきょうだいや友だちがいなくて寂しくても、こんなん友だちにしとうないですよ。見えない友だちに話しかけるより、こんなヤツ友だちにしてる方がよっぽどおかしい。まあジョシュは男の子ですから少し豪快な趣向をお持ちなのだとしても、幼少時のベスの友だちでもあったというのは説得力がないですね。完全に悪夢の中に出てくるヤツだもん。しかもゼットはどうやら実在するんだよなあ……。フィクションに対して何言ってんだという感じですが、モンスターが実在するという話は現実味がなさすぎてHeiroはノりにくいんですよね。モンスターが現実の何かのメタファーなら良いんですが……例えば暴力衝動とかね。

ラスト、自分が死ねばゼットは消えると考えたベスは首つり自殺を図ります。しかし未遂に終わり、廃人のようになってしまいます。ゼットからは逃げられたようですが……。このラスト、ベスの首に自殺未遂の跡がないように見えたので、実はこれまでのストーリーは精神を病んだベスの妄想で、ジョシュにゼットが見えるというのはベスがジョシュにもこの障害が遺伝している可能性を恐れている……といった作品だったのかとも一瞬思いましたが、たぶん表面的に捉えて問題ないでしょう(でもじゃあ「解答力」って何やねん。分からん)。ベスの妄想説が正しければもう少し深い作品になったと思いますけど。

 

最近ハズレ続きと書きましたが、観た作品間に面白い共通点もありました。"ウルフ・アワー"と"ザ・ブック・オブ・ヘンリー"はどちらもナオミ・ワッツの珍作。そして今作は、なんと"ドローン"との共通点が。ゼットの目的は、実はジョシュでなくベスを手に入れることなんですね。元トモが女性を手に入れようとする話。"ドローン"は元カレが女性を手に入れようとする話だった! 似てる!! 映画よりこの偶然の方が面白かったかな。イマジナリーフレンド・ホラーで言えば、来年2月に公開が決まった"ダニエル(Daniel Isn't Real)"の方が面白そう! 非常に期待です。

 

 

★★★★☆ 4.5/10点

 

Rotten Tomatoes  N/A,58%

IMDb  5.5

うん……まあって感じ。