Heiroのシネマ・ミュージックフロンティア

Heiroによる、辺境の映画・音楽を紹介・レビューするブログです。(映画レビューの際はのっけからしこたまネタバレします。映画は★、音楽は☆で評価) ツイッターアカウントはこちら→https://twitter.com/chloe_heiro0226

"Swallow/スワロウ(Swallow)"(2019)

この痛みだけが私のもの

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公式トレイラー(英語)


SWALLOW Official Trailer (2020) Haley Bennett, Thriller Movie

 

ヘイリー・ベネット主演ですよ! ヘイリー・ベネットが出演した映画で特に好きなものもこれまであんまりないんですが、不思議な色気のある人で好きです。名前もHeiroと似てるし。笑

あ、主演じゃないですが"ガール・オン・ザ・トレイン"は好きだったな。

さて。

 

あらすじのようなもの

玉の輿に乗り、他人が羨む生活を手に入れたかのように見えたハンター(ヘイリー・ベネット)。しかし夫や義理の両親はハンターをいわゆるトロフィーワイフとしてしか扱わない。精神的に孤独な生活に耐えるうちにハンターは妊娠するが、やはり夫らの関心は子どもにのみ注がれる。満たされないハンターは異物を口にしたい衝動に駆られるようになる。その欲望は次第にエスカレートし、より危険な物に手を出すようになって……。

 

キャスト・スタッフ

監督はこれが長編デビューとなるカーロ・ミラベラ=デイヴィス。

主演は前述したようにヘイリー・ベネット。他。ヘイリー・ベネットは製作総指揮も兼ねています。

 

ヘイリー・ベネットはこの作品でトライベッカ映画祭の主演女優賞を獲得したようですね。予告見る限り相当良くできたアート系スリラーに見えます。この作品のテーマとなっている異食症は妊娠やストレスが原因で発症することがあるとのことです。一概に自傷としての行為とは言えないでしょうが、少なくとも本作では異食に伴う痛みを快感としても感じてしまう歪な欲望を描いているようです。リストカットに近いものなのかな。

監督の祖母がアライグマ症候群になってしまったことから着想を得た物語だそうですが、この筋立ては十分に暗喩的ですね。ハンターが選べるのは何を飲み込むか、それだけなのかもしれません。自分のアイデンティティを取り戻すために取れるのがそんな歪んだ行動だけなのかも。その痛みだけが自分の生を肯定する……。新たなフェミニズム映画の金字塔となるか?

別に関係ありませんが、アブナい物を飲み込むシーンと言えばキム・ギドクの"魚と寝る女"を思い出しますね。キム・ギドク流人魚姫なのかなあと思いながら楽しく観ました。件のシーンではさすがにバカかと思いましたけど!

ポスターはマゼンタと言うんでしょうか、赤紫色がフィーチャーされていて非常に美しいです。この間の"カラー・アウト・オブ・スペース"を観ても思いましたが、Heiroはマゼンタにゾクゾクきます。上品で、蠱惑的で、ヘイリー・ベネットにピッタリの色です。本作も非常に気に入りそうな内容だなと思います。

内容以外で気になるのは、やはり主人公の名前。「ハンター(Hunter)」ってあまり聞かない名前ですよね。男性だったらまだありそうだけど、女性で……? これにも何か意味があるのかな。

 

長らく公開を望んでいましたが、2021/1/1に日本公開決まりました! 邦題はそのまま"Swallow/スワロウ"。来年も幸先良いね!!!

 

Rotten Tomatoes  88%,71%

IMDb  6.4

傑作の呼び声高し!!

 

(2021/1/18追記)

レビューしました。

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