Heiroのシネマ・ミュージックフロンティア

Heiroによる、辺境の映画・音楽を紹介・レビューするブログです。(映画レビューの際はのっけからしこたまネタバレします。映画は★、音楽は☆で評価) ツイッターアカウントはこちら→https://twitter.com/chloe_heiro0226

メタファー気にしてる?

めたふぁーて何ですか。

恥ずかしながら、劇中のメタファーについて考えを巡らせながら映画を見るようになったのは割とつい数年前からのことでして。
どんだけ表面的にしか映画を見ていなかったのかと。まあ大半の人はそうなんでしょうけどね。

 

メタファーとは隠喩(暗喩)のこと。つまり表立っては「比喩だよ!」と言われていない表現。普通、映画の中である映像について登場人物が観客に向かってメタな解説をすることはないので、基本的には劇中に何らかのメタファーが含まれている可能性があります。(“バーニング 劇場版”の中で、ベンちゃんが「僕はメタファーなんだ」みたいなこと言ってたと思いますが、たま~にはそういう場合もあります)

童話なんかだと分かりやすいですよね。童話には何かしらの教訓が入っているとする考え方がありますが、例えば赤ずきんちゃんを誘惑する森の狼は、現実で考えれば変質者ともとれます。面白いことに、日本語には送り狼という言葉があるわけで、狼は暴力的または性的に危険な人物を隠喩的に指しています。ちなみに、Heiroが大好きなミュージカルとして“イントゥ・ザ・ウッズ“があるんですが、その昔の舞台版を見ると狼の見た目がかなり性的にアレです。
最近の"IT"で、ベバリー(ソフィア・リリス)はペニーワイズによって赤く血に染まる風呂場に恐怖させられます。これは別に洗面台から血が逆流してきたから怖いのではないのです。説明的なセリフは全くありませんが、彼女の境遇を考えれば恐怖の理由に思い至るのは難しいことではありません。このさじ加減が最高ですね。

 

個人的には多くの場合、まず感覚的にメタファーに気付きます(勘違いの場合もあるかも)。その際にゾワッと興奮が全身を駆け抜け、その後言葉で整理した時に静かな感動が押し寄せます。一粒で二度おいしい。まず非言語的に気付くので、言葉の壁がありません。外国の話だろうと直接ハートに届くのです。直接例えるより婉曲な表現でありながら、より強烈に理解でき、より心に残るのです。Heiroが好きになる映画はメタファーの効いている作品だといっても過言ではないです。特にHeiroの好きなホラーやSFは一見非現実的ながら、だからこそメタファーによって現実性を帯びるのです。このドラマチックな逆説的な特徴があるためにHeiroはフィクションに恋しているのです。

 

ちなみに、最近Heiroがどんなホラーよりも恐怖している歌手がいます。谷山浩子です。最近の曲は歌詞が直接的過ぎて読み解く楽しみがありませんが、彼女の歌詞世界は深淵です。根源的な何かに繋がっているような畏怖の念さえ覚えます。彼女の話も近いうちに。